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落語DE古事記

2019.08.01 公開 ポスト

かの有名な神様、アマテラスとスサノオ。実は〇〇から生まれた⁉桂竹千代(落語家)

落語家・桂竹千代さんプレゼンツ! 日本最古の歴史書「古事記」を爆笑で読ませるこの連載。
イザナギとイザナミの悲しいはずのお話も、竹千代さんにかかると、こんなことになっちゃうんですね~。

さて、いよいよ今回は、古事記の超人気キャラ、アマテラスオオミカミとスサノオノミコトが誕生します!
みなさんは、この有名な神様たち、どうやって生まれたか知ってますか?
びっくり仰天間違いなしですよ!

*   *   *

(写真:iStock.com/nattya3714)

第4話「泣くなー!」

黄泉の国から帰還したイザナギは、全身が穢(けが)れているので、禊(みそぎ。お清めみたいなもの)をしなければなりません。日本には古来から、死と接すると自分のもつ「気」が枯れると考えられてきました。「気枯れ」が「ケガレ」という言葉になったと言われています。穢れた人はお祓いをしなくてはいけません。お祓いのなかでも、滝に打たれることや、沐浴など水を使うものを禊といいます。

 

この時イザナギは、日向という所にある川で、禊をしたと言います。宮崎県に日向という地名があるけど、イザナギが禊をしたところかどうかは不明。宮崎県は日本神話の舞台と言っていいほど伝承地がこれからもたくさん出てきます。また、宮崎県宮崎市には「みそぎ池」という伝承地があります。この近くに、江田神社というイザナギ&イザナミを祀った神社があります。

イザナギは身に着けていた衣服を脱ぎ、アクセサリーを外していきます。杖、帯、衣、袴、冠、腕輪など……(いつの間にこんな装飾付けてたのかよ! 黄泉国行くのに、よそ行きしていったのね)。

その外したアイテム(オシャレなアパレル店員の言い方)を投げると、そこから神が生まれていきます。

陸と海の神。計12柱の神々が誕生します(また入りました神様の確変フィーバー!)。

さあ生まれたままの姿になって、禊スタート!

黄泉の国の垢(あか)から、また神がどんどん生まれて行きます。

……意味わかんないですか? つまりカラダの汚れを落とすだけで、神が生まれちゃってるんです。

はい、せーの! アンビリーバボー!

垢を落とすと様々な神々が生まれますが……このシーンで覚えておいて頂きたいのはこちらの3兄弟。

長男:底筒之男命(ソコツツノオノミコト。水の底の方ですすいだ時に生まれたよ)。

次男:中筒之男命(ナカツツノオノミコト。水深の中間くらいのとこですすいで生まれたよ)。

三男:上筒之男命(ウワツツノオノミコト。水面あたりですすいで生まれたよ)。

この3柱の神様は、大阪の住吉大社に祀られています。3柱を合わせて「住吉大伸(すみよしのおおかみ)」といいます。全国に約600社あると言われる住吉神社の祭神は全て住吉大神で、航海の神様と言われています。

順番はこう覚えてください。

一番上は三男♪三男♪

一番下が長男♪長男♪

間にはさまれ次男♪次男♪

すみよし兄弟♪

……すみません。歌ったことを後悔しております(航海だけにね! いいぞ落語家!)。

イザナギさん体を洗ってさっぱり、最後は洗顔です(髪の毛洗わないのかな)。

左目を洗って生まれたのが天照大神(アマテラスオオミカミ。来たー! 日本の最高神。ナルシストな女王様。以下アマテラス)

右目を洗って生まれたのが月読命(ツクヨミノミコト。意外とこの後あまり出てこないので性格よくわからん。以下ツクヨミ)

鼻を洗って生まれたのが素盞嗚尊(スサノオノミコト。乱暴者。末っ子気質のイタズラ好き。後に大活躍。以下スサノオ)

目と鼻から生まれたことからこれを目くそ鼻く……バチあたるわ!!

この3柱の神々を三貴子(サンキシ)と呼び、特に尊い神とされます(結局、髪の毛と耳は洗ってないわね。耳は洗ってないから穢れたままですよね。実はボクも耳が穢れてるんです……というか潰れてるんです。高校の時に柔道やってて潰れました。柔道と落語は似てるんです。どちらもオトしたら勝ちです(いっぽん!)。

 

イザナギ「よしっ! まずはアマテラス、お前は高天原を治めなさい!」

アマテラス「はいはい、やりますよ」(女王様気質なので)

イザナギ「次、ツクヨミ、お前は夜の世界を治めなさい! (歌舞伎町とかすすきのとかのことじゃないわよ)」

ツクヨミ「はいお父様! 月にかわっておしおきよ!」

イザナギ「で、スサノオ、お前は海の世界を治めなさい!」

スサノオ「……やだーーー!!」

 

スサノオだけは父ちゃんのいうことを聞かず、ずーと泣いていました。とにかくずーっと。どれくらい泣いていたかというと……その涙で青々とした山はことごとく枯れ、河と海が干上がってしまい、ありとあらゆる災いが起こるほど。

 

イザナギ「もう泣くなー! やめろー!!」

スサノオ「……ぐすっぐす……わあーん!!」

イザナギ「泣くなー!!」

スサノオ「……ぐすっ……うん」

イザナギ「……やっと泣き止んだか」

スサノオ「ゔわーーーん!!!」

イザナギ「うるせー!!!」

 

×20

 

イザナギ「何がそんなに悲しいんだ?」

スサノオ「……だって僕は……うっ……うわーーーん!」

イザナギ「おい、泣いてちゃわからないだろ? 理由を父ちゃんに話してごらん?」

スサノオ「……うん。ぐすっ……だってぼくね、……うわーーーん!!」

イザナギ「うるせー!!!」

 

×50

 

イザナギ「よく出るな涙そんなに。おい! いい加減に訳を話しなさい!」

スサノオ「……だって……ぐす……ぼく母ちゃんに会いたいんだもん」

イザナギ「……母ちゃん?」

スサノオ「イザナミ母ちゃんに会いたいんだ!」

 

まて!! (柔道風)

おかしいよねー! キミは鼻から生まれてんだから鼻毛が父ちゃんで鼻の穴が母ちゃんとか言いたいところだけど……これが神話か……よし、はじめっ!! (柔道風)

 

イザナギ「何言ってんだキサマー! 母ちゃんはもういないんだ! そんなん言うならお前はこの国から出てけー!!」

 

勘当されます。

そういえば、俳優の小泉孝太郎さんも縁を切られたそうですよ。

お父さんの純一郎さんが言ってました。

「カンドウした!」

いっぽん! (柔道風)

……あ、これただのダジャレですからね。

 

ちなみに、今まで活躍したイザナギはこれ以降、登場しません。

最終的にイザナギは「淡海(おうみ)の多賀」に落ち着いたと『古事記』には書いてあります。

この淡海というのは近江(現在の滋賀県)のことで、そこにある多賀大社にイザナギが祀られています。

でもここで突然に近江が出てくるのがおかしいということで、「淡海」は「淡路」の書き間違いで、初めに生んだ淡路島へ帰ったのではないかとも言われます。淡路島にも「多賀」という地名があって伊弉諾神宮にイザナギが祀られています(どっちのイザナギショーやりたい)。

江戸時代、アマテラスが祀られる伊勢神宮への参拝「お伊勢参り」が大ブームとなった時(犬も参拝するくらいだワン)に、多賀大社にも来て欲しいと考えた地元の人たちが、キャッチコピーを作りました。「お伊勢参らばお多賀へ参れ、お伊勢お多賀の子でござる」。伊勢神宮にいる日本の最高神を生んだ親神が、多賀大社にいるってわけです。来て来てキャンペーンは成功して、多賀大社も大勢の参拝客で賑わったそうです。

イザナギの祀られる神社は、彼の黄泉の国エピソードにちなんで寿命をコントロールできる神ということで、「延命長寿」のご利益があると言われています。

 

さあ、イザナギ父ちゃんに勘当されたスサノオは路頭に迷います。

 

スサノオ「うわーーん!! どうしよう! そうだお姉ちゃんに相談しよう!」

 

次は、アマテラスとスサノオの滑稽なやり取り。

これもツッコミどころ満載です。

関連書籍

桂竹千代『落語DE古事記』

日本の神様は、奔放で愉快でミステリアス! 海をかき混ぜて日本を作ったかと思えば、一目惚れしたり、嘘ついたり、嫉妬に燃えたり。女の取り合いで大蛇と喧嘩する神様も、娘の恋人をイタズラでいじめ抜く神様もいる。さらに神同士の殺し合いも度々勃発。壮大すぎて難解と言われる日本最古の歴史書を、落語家が爆笑解説でスラスラ読ませる。

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落語DE古事記

神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね! 

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桂竹千代 落語家

落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。

新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。

エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。

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