移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー・パートナー」を利用し、今年永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? 知られざるカナダの魅力をお届けします。前回までのお話はこちら。
「なんでそもそもカナダなの?」
これまでいろんな人に聞かれ、その都度思ったことをふわっと答えてきた北極かえるだが、今回はそれをもう少しちゃんと言葉にしたい。
まずは紙に書き出してみた。
・毛を剃らなくていい(というか毛を剃る剃らないという論争自体ない)
・山と海がすぐそばにある(アウトドアスポーツの楽園)
・現実的にルイスと一緒に住める国
・街全体、人々がリラックスしている
・仕事やその他の時間のバランスがうまく取れる
・“出る杭は打たれる”感がない
・あまりみんなファッションやブランドに関心がない(と私は思う。ある人ごめんなさい!)
・環境問題、サスティナブルな暮らしや生き方に対する意識が高い
・これが最新! みたいな消費社会の会話が少なく、無駄な情報(スキャンダルなど)も入ってこない
・バンクーバーは都市だけれど、リスやスカンクや鹿など、野生の生き物を日々目にすることができる
・雪がある、雨が多く降る(新潟人の私にとって暗い冬、冬眠期間必須)
……やはり大きな決め手がある訳ではなく、小さな「いいなぁ」がたくさん集まっている感じかな。
でもまずはやっぱり、大きな自然がそばにあること。それも海と山がどっちもあるところだ。
前に、道を歩いてたおっちゃんと世間話をしている中で「ほんであなたはどこから来たの?」と聞かれ、「日本の新潟というところ。バンクーバーみたいに山も海もどっちもあるから似たような感じかも」と言ったらおっちゃんの形相が豹変した。
「おい。今、似たような場所があるって言ったか? 言ったな? そんなのあるわけねぇよ。絶っっ対にない。海と1500m級の山が3km圏内にあるか? こんな美しいところは他にはないよ」
怒りをこめて言って去っていった。驚いた。その怒られた事実に、というより、土地へのリスペクトみたいなものを感じたからだ。でもその通りなのだ。すぐそばに山も海もあって、本当に美しい。
普通のバス(料金250円くらい)で山や森へすぐに行けるし、車を持っていなくても自転車で登山道までいくこともできる。
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北極かえるのコモンロー日誌
移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]
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