落語家・桂竹千代さんによる、日本の神様について書かれた「古事記」の爆笑解説。
スサノオノミコトと並んで有名なのがオオクニヌシノミコト。
彼がついに登場します!
古事記、超盛り上がってまいりますよ。
* * *
第9話「スーパーヒーロー誕生」
前話でお話したように、スサノオは、ヤマタノオロチをめっちゃ卑怯なやり方で退治ししちゃいました。
オロチの尻尾を切ろうとすると(バラして食べようとしたのかな)……
カチン!
何かが剣の刃に当たります。
スサノオ「……なっ! なんじゃこりゃあ!!」(「太陽にほえろ!」より。さすが太陽神の弟)
そこから出てきたのは、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)という剣でした。
後にヤマトタケルがこの剣で草を薙ぎ払ったので、草薙剣(くさなぎのつるぎ)とも言われます。
……えっ? この剣は重いか軽いかって?
そりゃヘビの身体から出てきたのでヘビー(重い)ですよ(いよっ! よーよー!)。
ちなみにこの草薙剣は、天皇が正式に継承された証である「三種の神器(さんしゅのじんぎ)」の1つです。
これを持っているのが、今上天皇(きんじょうてんのう。現在の天皇ってこと。「〇〇天皇」ってのは亡くなってから言われるよ)とみなされるのです。
さあ、三種の神器、残りの2つはわかりますか?
そうです!
冷蔵庫と洗濯機(なんでやねん! それは戦後日本!)。
……ではなく!
「八咫の鏡(やたのかがみ)」と「八尺瓊の勾玉(やさかにのまがたま)」です。
これは、第7話の「アマテラスの岩戸隠れ」の時に作ったものです。
これらの三種の神器は、現在どこにあるでしょうか? 草薙剣は熱田神宮(愛知県)、八咫の鏡は伊勢神宮(三重県)、八尺瓊の勾玉は皇居(東京都)です。これも歴史を知ればわかります(熱田神宮はヤマトタケルゆかりの地。この話も面白いのよねぇ~! でもいずれ!)。
話を戻しまして、スサノオは、高そうな剣なんで一旦、お姉ちゃんのアマテラスに預けます(仲直りしたのかな? 結局シスコンなのねぇ)。
そしてオロチに食われそうになっていた、クシナダと結婚します。
新居を建てるべく、いい感じのとこを探していると(スーパー近いコンビニ近い駅近い地下鉄も通ってる閑静でステータス高く見られて大家さんの性格良くて安いとこないかなー)……
スサノオ「うん、ここいいな。何か心がすがすがしいわ」
そんなわけで、この地は須賀(すが。島根県にあり)という地名になりました。
こうして須賀に新居を建てて住むことになりました。島根県の須我神社がその場所らしいです。全国にあるスガ神社にはスサノオとクシナダが祀られています。
この地には、雲がたくさん立ち上がっていたので、スサノオは歌を詠みます。さすが出る雲で「出雲」ですね。
「八雲立つ(やくもたつ) 出雲八重垣(いずもやえがき) 妻籠みに(つまごみに) 八重垣作る(やえがきつくる) その八重垣を(やえがきを)」
意味:八重の雲が沸き起こる出雲に、妻を囲うためにたくさんの垣根を作る。たくさんの垣根よ~(最後は余韻)
この歌は、日本初の和歌と言われております(ちゃんと5・7・5・7・7になってる!)。
日本で和歌を初めて詠んだのは、平安貴族じゃなくて、元泣き虫のイタズラ小僧だったんですね。
この和歌にちなんで、須我神社の近くに八重垣神社(やえがきじんじゃ)があります。祭神はもちろんスサノオとクシナダで、ご利益は縁結びです。境内の裏手には、クシナダが鏡の代わりに姿を映したという「鏡の池」があります。社務所で売られている半紙に小銭を載せて池に浮かべると、お告げの文字が浮かんできます。半紙が遠くの方へ流れていけば、遠くの人と縁があり、早く沈むほど早期に縁があると言われています。だから早く縁が欲しい人は、より重い硬貨を載せた方がいいわけです。ケチって1円玉だと縁が遠のくそうですよ。
さあ、ここからスサノオとクシナダの間に子神が誕生し、その子神がさらに子神を生んで、その子神がさらに子神を生んで~(後に出てこない神ばかりなので一気に省略。落語のように時空を飛び越えるよ)……あっという間に6代目の子孫が生まれます。昆孫(こんそん)と言うそうです。孫の孫が玄孫(やしゃご)で、その孫が昆孫です(いつ使うの? 今でしょ!)。
これが、古事記上巻の中盤における大看板で、メイン主人公の大国主命(オオクニヌシノミコト。以下、オオクニヌシ)です。
ここからは、彼が様々な困難を乗り越えて成長し、スーパーヒーローとなる物語が始まります。
落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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