京都のお寺の副住職で、コラムニスト・編集者としても活躍中の稲田ズイキさん。そんな僧侶が、なんと「家出する」と宣言。この連載は、「僧侶」に虚無を、「寺」に閉塞感をおぼえた27歳の若い僧侶が、お寺を飛び出し、他人の家をわたり歩き、人から助けられる生活の中で、一人の人間として修行していく様子をほぼリアルタイムに記録していくというものです。気になった人はどうか、稲田さんをお家に泊めてあげてください。
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「愛にできることはまだあるかい」
映画『天気の子』でRADWIMPSがそう歌っていた。愛にできることはもうないかのような言い方で、慈悲至上主義(慈悲と書いてラブと読む)の自分は少々焦りながら、エンドロールを眺めていた。
予告の「あの夏の日、あの空の上で私たちは世界の形を決定的に変えてしまったんだ」というキーフレーズからもわかるように、この映画は、世界の変化とその責任を主題にしているように思えた。
質量保存の法則のように、何かを変えてしまったら、その分だけ失った何かが存在する。万引きをしたら自分は食いつなぐことができるかもしれないけど、ものを盗られ続ける人は生きていくことができないみたいに。『万引き家族』もそういうテーマの映画だったよね。
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僧侶、家出する。
若手僧侶がお寺や僧侶のあり方に疑問を持ち、「家出」した!
さまざまな人に出会うこと、それ自体が修行となると信じ、今日も彼は街をさまよう。
(アイコン写真撮影:オガワリナ)