日本最古の歴史書「古事記」。神様が、自由奔放に、天に地に駆け巡る壮大な物語絵巻。
落語家・桂竹千代さんが、この神々の物語を、毎回爆笑満載で楽しく解説してくれる人気連載。
日本に残る、奇跡としか思えない建造物「日本三奇」ののひとつが「天之逆鉾(あまのさかほこ)」ですが、これも、神様の仕業だったのです!
* * *
第21話「一緒になっちゃいなYO!」
ニニギノミコト一行は、宮崎県の高千穂峯に降り立ったと言われています。
実は「高千穂」というのは宮崎県に2ヶ所あります。
宮崎県北の「高千穂町」と、県南の鹿児島県との境にある「高千穂峯」です。
天孫降臨したのは、県南の方だと伝わります。
それが証拠に、ニニギが国家安穏を願って立てた天逆鉾(あめのさかほこ。日本三奇の一つ)が、高千穂峯の山頂に刺さってます。これ自体が、高千穂峯の麓にある霧島東神社の御神体となています。
現在刺さっているのはレプリカで、本物は壊れてしまい、その破片が地中に埋まっているらしいです。
ちなみに幕末の英雄(エーユー。ドコモじゃなくて)坂本龍馬が、妻のお龍との新婚旅行(日本初のハネムーンとも言われるよ)の時に霧島を訪れた際、高千穂峯を登ってこの天の逆鉾をイタズラして抜いたそうです。
もちろん抜いちゃダメなんです。神聖なものですから。
多分ですけど、だからタタリが起きて殺されちゃったんじゃないでしょうか。
龍馬と言えば、土佐藩。土佐は高知県ですよね。高知県の偉人と言えば、やなせたかしさんです。アンパンマンの作者です。だから龍馬も「アン」殺されちゃったんですかね(もうええわ)。
ニニギは高千穂のくじふる嶺に降臨します。
「うん、ここ日当りいいね! ここに住もう!」と引越し条件を「日当り良好」の1発で決め、ここに住むための宮を建てます(日当たり大事だけどね)。
ニニギ「そうだ、ウズメちゃーん! あの案内してくれたサルタヒコなんだけどさ、何かふたりお似合いじゃない? コーヒーのやり取りとか見てて面白かったし。 付き合っちゃいなよ」
ウズメ「えっ!? いや、そんな、向こうの気持ちもありますし」
ニニギ「ほーら、まんざらでもねーじゃん! いーじゃん、コーヒー好きでしょ? you付き合っちゃいなyo!」
ウズメ「ん~でも……」
ニニギ「自分の気持ちに目を覚ませ! コーヒーだけに!」
というわけで、サルタヒコとウズメちゃんが夫婦となります。
ここからウズメちゃんを「サルメ」と言うようになりますが、これはサルタヒコと結婚したからなんです。猿の女で猿女(サルメ)です。
アマテラスが祀られる伊勢神宮のすぐ側に、サルタヒコ神社があり、その隣にサルメ神社があります。
夫婦仲良く祀られてるわけですが、サルメ神社は芸能の神様です。ボクがサルメ神社のお守りを常に携帯しているのは、第7話で話した通りです(現状維持! )。
サルタヒコが三重県の海辺で漁をしていると、貝に手を挟まれて海に溺れて死んじゃいます(神様あっけない! )。
オオクニヌシのお母さんがいてくれたら、また生き返らせてくれるんだろうけど、もう出雲神話終わっちゃったのよね(ノーコンティニュー)。
さて、ウズメちゃんが海で魚達を集めます。
突然謎の行動ですが、『古事記』に書いてあるんです。夫を海で亡くしたのと関係してるんでしょうか。
ウズメ「お前達はもちろんアタシ達、アマテラス軍団に仕えるよねー?」
魚A「もちろんお仕えするっす!」
魚B「ボクもっす!」
魚C「アタシもです!」
魚D「オラもだす!」
魚E「アタイもよ~ん!」
魚F「……」
魚G「オイラもだ!」
魚H「ワイもや!」
魚I「拙者もでござる!」
魚J「おいどんもでごわす!」
ウズメ「ちょっと待て! 1匹だけ返事しなかったヤツいたぞ! おい魚F! バレてんだよ! お前もアタシ達の言うこと聞くか?」
魚F「……」
ウズメ「くらー! さっきよりてんてん増えてんじゃねーか! シカトしてんじゃねーぞ! その開かない口切ってやらー!」
ウズメは小刀で魚Fの口を切りつけます。
彼の正体はナマコでした。
ナマコの口が裂けているのは、ウズメがこの時に切ったからだとされています(ナマコ酢うまいよね)。
さて、無事に地上に降臨したニニギは、絶世の美女に出会います(ムフフ)。
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落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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