神社の参拝はおなじみ。でも、神様については、あまり良く知らない……。
そんな私たちに、神様について書かれた「古事記」を面白解説してくれるのが、落語家・桂竹千代さん。
子どものころからなじみのある「昔話」のおおもとも「古事記」のなかにあるんだな~というのを、今回は堪能していただきましょう!
* * *
第25話「教えてでんじろう!」
ヤマサチは、シオツチに言われるがままに、失くしてしまった兄の“お気に”の釣り針を探すべく、海中へと進みます。
これが、浦島太郎の原型とも言われております。
その証拠に、ヤマサチの本名は桐谷健太と言います(ウソだよ! )。
どんどん海底へ進んで参りますと、そこにはシオツチの言う通り宮殿がありました。
ヤマサチは、宮殿のある桂(奇遇だね! ボクも桂だ)の木に登って休憩します。
すると現れたのは、ひとりの女性です。女性がそこにある井戸から、器で水を汲もうとすると、水面に映る人影を見つけます。
……え~とすみません。
「海の中で井戸から水汲むってどゆこと?」というご質問は、井戸だけに深く掘り下げないでください。
「海の中なのに水面に影が映るっておかしくね?」という意見は、海だけに水に流してください。
もうここまで来たら、皆様が神話に慣れてきたものと信じて先へ進みます! (心を鬼にして! )
女「うわー! びっくりした! あなたは誰?」
ヤマサチ「水くれ!」
女「水……喉が渇いてるんですか? じゃあこれ、どうぞ」
女性は器に水を入れて、ヤマサチに差し出します。
するとヤマサチは、水を飲まずに自分の首飾りを解いて玉を口に含み、器に唾と一緒に吐きました(突然の謎の行動)。
女「うわー!! 変な人だ! 変なおじさんだ!」
ヤマサチ「そうです! アタスが変なおじさんで……違ーう!! 見てこれ!」
ヤマサチの唾液の力で、首飾りの玉が器にくっついて離れない!
女「ぎゃー! やっぱり変な人! これ何で取れないの? 唾で! キモいー! 何でー! 教えてでんじろう先生ー!」
ヤマサチ「およよ」
女「大河内の傳次郎じゃなーい!! 助けてー! 豊玉姫(トヨタマビメ。以下、トヨタマ)さまー!」
トヨタマは海の神の娘です。これが浦島太郎物語の乙姫のモデルというわけです。
本名はもちろん菜々緒です(ウソだって! )。
この女性はトヨタマの召使いたっだんですね。
トヨタマ「どうしたの? およおよして」
召使い「傳次郎じゃないんです! 何か木の上に変なひとがいまして! まあまあのイケメンではあったんですけど……! 器に唾吐いたら、この玉くっついて取れなくなっちゃって……何かとにかく変で!」
トヨタマ「あなたの言ってることようわからないわ……とにかく誰か変なひとがいるのね? 行ってみましょ」
トヨタマが表へ出て行くと、木の上にいるヤマサチを見つけます。
ヤマサチもトヨタマビメを見つけます。
見つめ合う視線のレーザービームその2(その1は第12話)。
合体! ……多分してます。古代で男女が「見る、会う」=そゆことです! (18禁! )
ちなみに、鹿児島県指宿市に日本最古の井戸があって、ここがトヨタマとヤマサチの出会った伝承地とされております。もちろん今は、井戸の中に水はないです。
さて、ピロートークもそこそこに、トヨタマとヤマサチはすぐさま父の元へ参ります。
このトヨタマの父が、綿津見神(ワダツミノカミ。以下、ワダツミ)つまり海神=ワダツミです。
トヨタマ「お父さん、すっごいイケメンいたの! めっちゃタイプで! 紹介するわ!」
ワダツミ「なぁにぃをぉ? イケメンだぁ?」
ヤマサチ「うわっ! こわそうなオヤジ! やっべぇ逃げようかな……」
ワダツミ「……そこにいる男か?」
ヤマサチ「ぎくっ! ……こ、こんにちは~、はじめまして~」
ワダツミ「何者だキサマは!」
ヤマサチ「ひゃいっ! ……あの、地上からやってはるばる来ました、ニニギノミコトの三男坊でして……」
ワダツミ「なぁに~!? ニニギノミコトの息子だとお?! ……じゃあ神様じゃーん! エライじゃーん! ぜひウチの娘をよろしくー!! (これでウチも安泰だな)」
ヤマサチ「変わり身はやー! おれアマテラスの子孫に生まれて良かったー!」(ニニギとオオヤマと同じパターンのやつだ! 第22話参照)
ワダツミ「よーし! めでたいぞ! この勢いで結婚祝いだー! 酒持ってこーい!!」
ご馳走が運ばれて来て、どんちゃんどんちゃん♪
ワダツミ「ささ、ヤマサチさんどんどんやってくださいな! 日本酒どうです? やっぱりヤマサチさんは「男山」ですかな? はっはっはっ!」
ヤマサチ「うわー! 楽しーい!!」
どんちゃん騒ぎは、連日連夜続きます。
ヤマサチさん、居心地良過ぎてあっという間に……
3年経っちゃった!! (時間感覚おかしいって絶対! 第16話の時もそうだけど! )
ヤマサチ「……あれ? 何か忘れてるような……? ま、いっか!」
おい大丈夫か、ヤマサチさん。
落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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