スタイリスト・山本あきこさんの新刊『これまでの服が似合わなくなったら。~「40歳、おしゃれの壁」を乗り越える!~』は、「いつもの服がなんだかしっくりこない…」と悩む方必読! 1万人以上の女性を変身させてきたスタイリスト・山本さんによる、大人女性の魅力を底上げするファッション術が満載の1冊です。今回は山本さんが主宰するファッションカレッジの生徒さんの、おしゃれで人生が変わった感動のエピソードをお送りします。
* * *
4年前、スクールに通ってくれたYさんは、当時4歳と1歳のお子さんがいる35歳の専業主婦でした。気立ての優しいお子さん思いのママで、当時は「自分にお金をかけちゃいけない」と思っていたそうです。ご主人がお子さんを見てくれるときでも、「外出するのは3時間だけ」という自分ルールを作り、できるだけ早く家に帰るようにしていた、と話してくれました。
そんな優しくて控えめな彼女が最初にトライしたのは、前髪を短くカットすることでした。「おしゃれになりたい」「あか抜けたい」という彼女の気持ちを、前髪のカットがあと押ししたのです。
安田成美さん似の彼女は、その短い前髪がすごく似合っていました。短い前髪は顔がはっきりと出ます。その髪型にしたことで、彼女は徐々に「自分」を出せるようになっていきました。手に取る服も、ほっこりしたものからシャープでかっこいい雰囲気の服が増えていきました。ご主人も、そんな彼女を応援してくれ、スクールの日は、快くお子さんを見てくれていたそうです。
彼女自身も、それまでは何をするにでも、「子どもを優先しなきゃ」と思っていたのが、自分が楽しいと思える時間も大切にしようと考えられるようになってきたのだとか。
あるスクールの日、彼女が熱を出してしまったことがありました。けれども彼女はなんとかベッドから這い出て、行こうとしました。
そんな彼女を見て、ご主人は「どうしてそんな無理をしてまで、ファッションの勉強がしたいの?」と彼女に聞きました。その口調に責める様子はなかったものの、その言葉を聞いた彼女は涙が止まらなくなってしまったそうです。そして思わず、「あなたが、可愛いと言ってくれないからでしょ!」と、大きな声が出てしまったと言うのです。
そんな言葉が、自分の口をついて出てきたことには、彼女自身が一番驚いていました。そして「ああ、そうか。私は、子どもが一番大事だといつも口に出していたけれど、心の底では、夫に愛されたい、夫に理解してもらいたいって思っていたんだなあ」ということに気づいたと話してくれました。
その日をきっかけに、Yさんはご主人に、「本当に自分が思っていること」を腹を割って伝えられるようになった、と言います。
「おしゃれになることは、自分のわがままじゃない。自分が幸せになることは、家族も幸せにするのだと気づきました」と、Yさん。それまでも、仲のいいご夫婦でしたが、今はさらに対等なパートナーとして信頼し合っています。
これまでの服が似合わなくなったら
「いつもの服がなんだかしっくりこない…」と思ったら、"自分本位なおしゃれ"へ進むチャンスです!
- バックナンバー
-
- 「照り」と「品」で作る“ほどよい色気”が...
- プチプラ服を買う時のポイントは? ~ユニ...
- GUとZARAで40代女性が買うべきマス...
- プチプラ服の賢い選び方
- 派手アイテムは自信のなさを隠す鎧だった。...
- ベージュはおばあちゃんの肌着の色じゃない
- 騙されたと思ってピンクを試してほしい
- 色全体に自分自身を少しずつ慣らしていく
- 40代からは土に還るより空に向かおう
- 「似合わない色はない」と心得る
- 好きな服を着られるようになって、コンプレ...
- 体型に悩みがあっても、着たい服は着ていこ...
- 体型変化にお勧めなのはロングカーデ
- デコルテを出す服を着ると、なぜかみんな「...
- ファッションセンスを爆上げしてくれる自撮...
- 体重マイナス5キロに見せる神パンツの選び...
- 勇気を持って、細身パンツをはこう
- 「夫に可愛いと思われたい」。自分の本音に...
- 篠原涼子さんと吉瀬美智子さんの「色気」は...
- 見た目と人格が一致すると、女性はどんどん...
- もっと見る