京都のお寺の副住職で、コラムニスト・編集者としても活躍中の稲田ズイキさん。そんな僧侶が、なんと「家出する」と宣言。この連載は、「僧侶」に虚無を、「寺」に閉塞感をおぼえた27歳の若い僧侶が、お寺を飛び出し、他人の家をわたり歩き、人から助けられる生活の中で、一人の人間として修行していく様子をほぼリアルタイムに記録していくというものです。気になった人はどうか、稲田さんをお家に泊めてあげてください。
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お盆という名の繁忙期を終えて、僕は今、東京にいる。
東京で何をしているかというと、地獄かってくらい仕事をしているのだ。
お盆というのは僧侶にとって、一年で最も精神と肉体を費やす期間。供養されるのは、先祖か、それとも自分かってくらい、死の淵をさまよう「デスゲーム(二重の意味)」なんだけども。ようやく繁忙期を抜けたと思うと、それまでに溜まりに溜まった仕事が待ち受けているのだ。繁忙2コンボだドン!
追い込まれた僕が今、逃げ込んでいる先が、かつての居候先である。
僕は2018年の4月から2019年の5月まで約1年間、友人の家に居候させてもらっていた。1日200円。しかもワンルームである。
今こうして、他人の家に宿泊させてもらう家出生活をしているのは、間違いなく彼との1年間の生活があったからだ。
「あっ、人って結構、家に泊めさせてくれるんだ」という見通しの甘い実感が、今の僕の家出生活を支えていると言っても過言ではない。相変わらず人生ガバガバ。
今回はそんな友人、カワニシとの日々を綴る。
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僧侶、家出する。
若手僧侶がお寺や僧侶のあり方に疑問を持ち、「家出」した!
さまざまな人に出会うこと、それ自体が修行となると信じ、今日も彼は街をさまよう。
(アイコン写真撮影:オガワリナ)