仕事でも、恋愛でも、ギャンブルでも、なぜか「運のいい人」と「運の悪い人」に分かれますよね。一体、どうして差がつくのでしょうか? それを教えてくれるのが、ラスベガスの日本人カジノディーラー、片桐ロッキー寛士さんの著書『運を味方にする カジノで一晩10億勝つ人の法則』。「勝負に強い人」の思考法と習慣、そして強運の波に乗るヒントがつまった本書より、その一部をご紹介します。
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「負けること」は当たり前
私たちディーラーの間で、「大勝ちする」といえば、「バイ・イン」の一〇〇倍以上の勝ちのことを指します。バイ・インとは、テーブルに置くお金のことです。
一〇〇万円持ってきてそれをテーブルの上に置き、一億円勝ったら間違いなく大勝です。これがバイ・インの一〇〇倍の勝ちに相当します。ただし私個人としては、五〇倍の五〇〇〇万円でも十分な勝ちだと思っています。
バイ・インの五〇倍、一〇〇倍勝つような人には、ある共通点があります。それは、必ず大きな負けも経験していることです。少しギャンブルをかじってみるとわかりますが、負けなしの勝ちはあり得ないわけです。リスクを取れない人は小さな勝ちはあっても、周りが驚くような勝ちを手に入れることはできません。
リスクを取れる人は、流れに乗ればその瞬間にリスクがチャンスに変わり、大きく勝っていきます。
カジノは、一定のルールや遊び方、マナーを本などで学べば、だれでも十分に楽しむことができます。しかし、勝負の勘といったものは実践の中でしか鍛えられません。もちろん、負けの存在しない実践といったものはないでしょう。
また、負けることは何もマイナスなことばかりではありません。どんなときでも冷静になる大切さを学ぶことができますし、負けが込んでいるときでも運が好転するのをじっと待つ我慢強さが身につきます。さらに、勝ちにつながる糸口を見つけながら「ここだ!」と強気に賭けるタイミングをはかる勉強もできるのです。
その意味では、ギャンブルと投資は似ている面があるかもしれません。
なぜカジノ客は「企業オーナー」が多いのか
カジノには企業のオーナーも数多く立ち寄ります。その人たちを見ていると、負けることをまったく怖れていません。やはり毎日の企業経営の中でリスクを取らなければチャンスもないと知っているからでしょう。
どういうタイミングで投資をすれば事業が成長するか、あるいはどのような状況で投資の額を増やせば現在の窮状を抜け出すことができるか。そんな具合に、ギャンブル以上の“ギャンブル”を毎日体験している経営者もたくさんいるはずです。
経営者の中には「なぜ成功したのですか」と聞かれ、「成功するまでつづけたからだ」といった名言を残す人もいます。成功するには失敗して当たり前だと考えているから、こういう言葉が出てくるのでしょう。それに、経営の失敗に比べれば、ギャンブルでの負けは想定のうちに入っているはずです。
だからでしょうか、カジノと長く付き合える人の中には、企業オーナーが多いような気がします。かなりのお金は使っていますし、たびたび負けてはいるのですが、ときどき大きく勝つこともあって、ならしてみるとそれほど大負けしていません。
ギャンブルのスリルは大いに楽しみ、勝ち負けがとんとんなので、またカジノに足を運ぶことができます。
経営の場面でリスクとチャンスを見極めながら、勝負すべきところではしっかりと勝負している人たちなので、経営で養った勘がカジノでも働くのかもしれません。
もちろん、リスクを取れといっても全財産を投げ打つような賭け方はいけません。
以前、自宅を売って三〇〇〇万円ほどのお金をつくってカジノにやってきたお客さんがいました。私が「そんな大事なお金をギャンブルで使わないほうがいいんじゃないですか」と言うと、「ほかにも何軒か家を持っているから大丈夫だ」と話していました。
しかし、大負けしてお金を失うたびに、一軒また一軒と家を売ってはカジノに来るうちに、ついにすべてをなくしてしまいました。
このように、家屋敷を失うほど大切なお金を賭けてはいけませんが、負けても生活に影響しない程度の額を決めておけばギャンブルは楽しめますし、負けても得るものがあるはずです。それが次の勝ちにつながる貴重な経験になると思えば、賭け金を全部失ったとしても、有益な体験に対して授業料を払ったと思えるのではないでしょうか。
運を味方にする
仕事でも、恋愛でも、ギャンブルでも、なぜか「運のいい人」と「運の悪い人」に分かれますよね。一体、どうして差がつくのでしょうか? それを教えてくれるのが、ラスベガスの日本人カジノディーラー、片桐ロッキー寛士さんの著書『運を味方にする』。「勝負に強い人」の思考法と習慣、そして強運の波に乗るヒントがつまった本書より、その一部をご紹介します。