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運を味方にする

2019.09.23 公開 ポスト

ラスベガスのカジノディーラーが教える「運が悪い人」の特徴片桐ロッキー寛士

仕事でも、恋愛でも、ギャンブルでも、なぜか「運のいい人」と「運の悪い人」に分かれますよね。一体、どうして差がつくのでしょうか? それを教えてくれるのが、ラスベガスの日本人カジノディーラー、片桐ロッキー寛士さんの著書『運を味方にする カジノで一晩10億勝つ人の法則』。「勝負に強い人」の思考法と習慣、そして強運の波に乗るヒントがつまった本書より、その一部をご紹介します。

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カジノで嫌われる「クーラー」とは

テーブルの調子がいいときに、新しい人が入ってくると流れががらっと変わることがあります。まず、ブラックジャックだと、カードの順番がすべて変わります。それほどはっきりした原因でなくても、別の人が入ってくるとちょっと雰囲気が違ってくるので、嫌な顔をする人も多いのです。

(写真:iStock.com/lucadp)

「バッド・ラック(bad luck)」と聞こえよがしに言う人もいます。そういう嫌な感情は連鎖していきますから、その結果、実際に場の運が悪くなってしまいます。

もちろん、きちんと「入れてもらっていい?」と声をかけてくる人に対しては、みんなもある程度受け入れますが、何も言わずに座る人は基本的に嫌がられます。とりわけ、ツイていない人が入ってくるときは、みんなの反感を呼びます。

ツイていない人や、不運を呼んでくる人のことを、カジノでは「クーラー(cooler)」と呼びます。たとえば「彼はクーラーだよ」と言ったとき、その意味は、彼がテーブルに来ると場の運が悪くなるということです。

たくさんの人たちが入り乱れるカジノで、クーラーの印象を受ける人は意外と多いものです。テーブルに来ても挨拶一つしない人、こちらが挨拶しても返さない人、人の私物を勝手に動かす人、みんなが盛り上がっているのに一人黙々とプレーする人、そんな人が一人いるだけで場の雰囲気が悪くなります。

さらに、他人のプレーに口出しをしたり、自分が負けるとあからさまに嫌な態度をとったりする人はテーブルの運を悪くする人です。

私が知っている中で一番のクーラーが、その名も「The cooler John」です。もちろん本名ではなく、私たちディーラーが勝手に「クーラー・ジョン」と呼んでいるのです。

彼は毎日決まって二〇〇万円ずつプレーするお金持ちです。八〇歳くらいの地元の人で、どこかの会社の社長を退任したと聞いています。白人で背が高く、非常に痩せた人です。杖を突いてひょこひょこと私のテーブルに近づいてきますが、とても元気で、サイコロを振るともっと元気が出るようです。

そんな彼がなぜクーラーなのでしょうか。

「マイナスの言葉」が運を遠ざける

その原因は言葉づかいにあります。口がすごく悪いことで有名で、負けると「くそやろう!」など汚い言葉の数々を吐き捨てて出ていきます。顔は引きつり、皮肉なことしか言いません。

(写真:iStock.com/BrandonKauffman})

マイナスの言葉をつかうと、そこに悪いエネルギーがたまってしまいます。だからクーラー・ジョンが同じテーブルに戻ってきても、また負けつづけます。彼との付き合いは長くなりますが、ほとんど勝つところを見たことがありません。決まって負けて、捨て台詞を吐いて出ていく姿しか印象にないのです。

他の人も「彼が来るとすごく場が悪くなる」と言って、とても嫌がります。クーラー・ジョンがテーブルに現れると、五分か一〇分で彼の周りからは人がいなくなってしまうほどです。

実際、クーラー・ジョンのような人と一緒にギャンブルをやっても、場の雰囲気が悪くなっているのでなかなか勝つことは難しいと思います。

ちょっと注意を要するのが、気づかないうちに自分がクーラーになってしまっているケースがあるということです。

人はゲームの流れが悪くなってくると、だれかのせいにしたがるものです。ディーラーの位置から見ているとそれがよくわかります。大きな賭けに出て負けると、別のプレーヤーやディーラーをキッとにらみつける人がいます。自分がこの人のせいで負けたのだ、この人はクーラーだと思い込んでいる相手を許せないという気持ちがストレートに出ているのです。ひどい人になると通行人をつかまえて文句を言いはじめます。

こうなるとクーラーだと思われる人よりも、当人のほうが場を悪くしているのは明らかです。その人こそが運の流れを悪くしているクーラーになってしまっているのです。

カジノではこういうことはよく起きます。テーブルに新しく入ってきた人の何かが気に入らず、クーラーだと決めつけ、そこからのゲームの負けをその人のせいにし、感情的になってしまうのです。もしかしたら、すでに大きく負けていて、それを取り返そうとして周りに配慮が足りないのかもしれません。本当はクーラーなど存在しないのに、自分のネガティブな気持ちがクーラーという仮想の敵を生み出しているのでしょう。

新しくテーブルに入ってきた人のどこかが気にかかるのであれば、自分がテーブルを離れればいいだけです。また、運は常に上下しているので、運が下がりはじめたとき、偶然、新しい人がテーブルに入ってきた可能性も考えられます。その偶然を必然と錯覚してしまうのです。

ギャンブルのテーブルに着けるのは何人かに限定されています。少人数でプレーしているとき、みんながネガティブな状態になっていたら、いいチャンスが来ても見逃してしまうと思います。そうではなく、みんながポジティブな感情を持っていればチャンスが来たとき、それがわかり、みんなで勝ち抜いていくことができます

仕事においては多くの人がチームで進めていると思いますが、ギャンブルも意外とチーム戦なのです。

関連書籍

片桐ロッキー寛士『運を味方にする カジノで一晩10億勝つ人の法則』

“ポジティブバカ”になれ! ラスベガス日本人NO.1カジノディーラーが見た、勝負に強い人の思考法と習慣。 ラスベガス日本人NO.1カジノディーラーが見た、勝負に強い人の思考法と習慣。 だれにでも訪れる運を味方にし、強運の波に乗る方法とは? CHAPTER 1 カジノでの運は人生の縮図――ラスベガス最高峰のカジノの世界とディーラーへの道 ・強い人は自分の「型」を持っている ・個性豊かなハイローラーたちの伝説 CHAPTER 2 カジノでの勝負から見える運の定義 ・運は波のようなもので、だれにでも平等に訪れる ・「負けなしの勝ち」はあり得ない ・大損した後は、必ず大勝負を挑む ・居心地がよい場所は、運が停滞する場所でもある CHAPTER 3 運の大波にうまく乗るための駆け引き ・勝者は運に従い、敗者は運に逆らう ・靴のきれいな人は運に好まれる CHAPTER 4 何をしてもうまくいかないときに運を引き寄せる方法 ・よい流れが来るまでは、岩になれ ・あきらめた瞬間に勝負は終わる ・ネガティブな気持ちは仮想の敵を生み出す CHAPTER 5 カジノで億を稼ぐ勝負師の感情コントロール術 ・「絶対に勝とう」が判断を鈍らせる ・勝負師の共通点は“ポジティブバカ” ・「取り戻す」と思った時点で負けは確定

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運を味方にする

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片桐ロッキー寛士

1983年生まれ。ラスベガスのカジノで10年以上のキャリアを持つカジノディーラー。カジノの記録をとるスーパーバイザーとしての経験も持つ。現在もラスベガスのカジノでディーラーとして働きながら、VIPのお客様を相手にするカジノホストとして、また日本のカジノ誘致関係者への案内役としても活躍している。

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