2016年9月に自動車教習所に入校した私。人生で二度目、35年ぶりの教習所だ。
前回はあまりに技能教習がツラすぎてすっかり記憶から消えていたのだが、運転免許を取得するには学科教習を受けて、最終的には免許センターなどでの学科試験に合格しなければならない。その前に、学校内の仮免許学科試験に合格しなければ、路上教習を受けられないのだ。
学生時代、夏休み期間に免許を取る予定で実家から近い小樽の教習所に通ったのに、とても卒業に至らずに大学のある東京に舞い戻った、という話はしたと思う。「2学期終わったら年末年始はまた教習所か」と気分はブルーだったのだが、久しぶりに予備校時代の仲間で集まったところ、灘高校を出て一浪し、東京大学理科3類(医学部コース)に合格した男の友人も、私と似たような状況だということがわかった。彼は言っていた。
「教習所であまりに怒られてるうちに、だんだん学科教習にも自信なくなっていった。そしたら、仮免許学科試験に落ちてしまったんや。冬休みはそこからやり直しや。いっしょに試験受けた不良みたいな兄ちゃんや姉ちゃんはみな合格で、“ワシ、こいつらよりアホなんか”とその場に座り込んでしまったで……」
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おとなの手習い
60歳という人生の節目を前に、「これからの人生、どうする?」という問いに直面した香山リカさん。そこで選んだのは、「このまま穏やかな人生を」でなく、「まだまだ、新しいことができる!」という生き方。香山さんの新たなチャレンジ、楽しき悪戦苦闘の日々を綴ります。
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