オンナの多様性なんて嘘？～淑女のための『キングダム』入門｜夜のオネエサン＠文化系｜鈴木涼美

年中ビーサンで過ごすためなら多少の出費やむなしと思っている私が、なぜまだ東京がじんわり暑いステキな季節に、わざわざ14℃とかしかない中国は陝西省（せんせいしょう）の西安にまで来ているかというと、世界遺産・兵馬俑（へいばよう）としてお馴染みの始皇帝のお墓に聖地巡礼に来たわけです。

始皇帝といえば秦王政、政と言えば漫画『キングダム』、というわけで別に聖地って言っても中国4000年の歴史を辿っているわけでも儒教の信者なわけでもなく、単にオタク魂で、ここ5年、新刊が出るたびにデジタルでもペイパーバックでも買い続けた自分へのご褒美としてなんとなく企画した西安トリップ。しかし兵馬俑で見せられた説明ビデオの始皇帝が、すっかり四角い顔のいかついおじさんになっていてちょっと気分が壊れたところでもある。

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鈴木涼美

1983年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒。東京大学大学院修士課程修了。小説『ギフテッド』が第167回芥川賞候補、『グレイスレス』が第168回芥川賞候補。著書に『身体を売ったらサヨウナラ夜のオネエサンの愛と幸福論』『愛と子宮に花束を夜のオネエサンの母娘論』『おじさんメモリアル』『ニッポンのおじさん』『往復書簡限界から始まる』(共著)『娼婦の本棚』『8cmヒールのニュースショー』『「AV女優」の社会学増補新版』『浮き身』などがある。

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