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ゴルフは名言でうまくなる

2019.09.29 公開 ポスト

第106回

「3秒以内に打て!」――福井康雄岡上貞夫

プロのものまねがプレーを遅らせる

福井康雄プロは、日本のプロゴルファー第1号・福井覚治(かくじ)プロの息子さんで、日本のレッスンプロの草分けである。生徒数は30万人を超え、型にはめない自然流スウィングと、いかにゴルフを楽しむかを教えた。そのレッスンを望むファンは後を絶たなかったという。

福井プロの生徒でもっとも有名なのは、現・日本プロゴルフ協会(PGA)会長の倉本昌弘プロだろう。

表題の言葉を実践した倉本プロは、まさに「早射ちマック」。自分の順番になるとすぐに打ってしまうので、スロープレーが蔓延しているプロゴルフに慣れてしまったテレビカメラマンは、しばしば肝心のスウィングを撮り損ねたものだ。

女子ツアーでは、全英女子オープンで優勝した渋野日向子プロも早打ちだ。ぐだぐだと考えて時間をかけるよりも、感じたままに打ってしまう小気味よさは海外メディアからも称賛され、倉本プロ同様、見ていて気持ちがいい。

福井プロが言うには、人間の集中力というものは4秒程度しか持続できないのだそうだ。

「4秒以上経過すると、神経が散漫になったり、逆に過敏になったりもして、自然の状態でスウィングできなくなる。結果は無残、というのも当然のこと」とおっしゃる。

アマチュア時代の倉本プロにも「3秒以内に打て!」と教え、福井プロ自身はさらに早く打っていたと述懐している。

「早射ちマック」は、ことを急いて失敗するときの揶揄として使われることが多い。しかし、生活がかかっているプロと違い、アマチュアには「早射ちマック」を推奨したいぐらいだ。

「プロのものまねが、ゴルフの悪癖になりつつある」と言ったのは、南アフリカの黒豹ことゲーリー・プレーヤーである。

プレーヤーは、プロのスロープレーが悪癖になりつつあるのを嘆いたうえで、「悲しいことに、こうしたぶざまな動作はものまねされるから、ゆっくりとゴルフを行うことがいいことだと誤解したゴルフファンがプロのものまねをするおかげで、世界中のゴルフコースでプレーがなかなか進まない」と言っている。

「プロは、早いプレーのお手本を示すべき立場だ」と言ってくれているのはとてもありがたい。一方で、子どもを学校に通わせ、教育費を払い、家のローンも支払わなければならないのだから、一打で何百万円も収入が変わるとなれば慎重にならざるを得ないのも理解はできる。

ところが、アマチュアは生活がかかっているわけではない。ゴルフ本来のマナー精神に戻るべきなのはもちろんだが、スコアのうえでも早打ちのほうがいいのではないかと思う。

さっさと打ったほうがリズムを保てる

よく、「いいショットを打つには、プレショット・ルーティーンを確立し、毎ショット同じルーティーンをすべきだ」なんてことをしたり顔で推奨しているレッスン記事を目にする。

たしかにプロの動作を見ていると、ボールの後ろから方向を確かめ、素振りを2~3回、ボールに近寄ってアドレス、ワッグルを2~3回、呼吸を合わせてスウィング開始……なんてことを毎回30~40秒ぐらいかけてやっている。

誤解を恐れずに言えば、アベレージゴルファーの場合、そのような儀式に時間をかけても、たいした効果はないと思う。

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。著書に『ゴルフは名言でうまくなる』『90を切るゴルフの名言33』(ともに幻冬舎新書)がある。

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