プロのものまねがプレーを遅らせる
福井康雄プロは、日本のプロゴルファー第1号・福井覚治(かくじ)プロの息子さんで、日本のレッスンプロの草分けである。生徒数は30万人を超え、型にはめない自然流スウィングと、いかにゴルフを楽しむかを教えた。そのレッスンを望むファンは後を絶たなかったという。
福井プロの生徒でもっとも有名なのは、現・日本プロゴルフ協会(PGA)会長の倉本昌弘プロだろう。
表題の言葉を実践した倉本プロは、まさに「早射ちマック」。自分の順番になるとすぐに打ってしまうので、スロープレーが蔓延しているプロゴルフに慣れてしまったテレビカメラマンは、しばしば肝心のスウィングを撮り損ねたものだ。
女子ツアーでは、全英女子オープンで優勝した渋野日向子プロも早打ちだ。ぐだぐだと考えて時間をかけるよりも、感じたままに打ってしまう小気味よさは海外メディアからも称賛され、倉本プロ同様、見ていて気持ちがいい。
福井プロが言うには、人間の集中力というものは4秒程度しか持続できないのだそうだ。
「4秒以上経過すると、神経が散漫になったり、逆に過敏になったりもして、自然の状態でスウィングできなくなる。結果は無残、というのも当然のこと」とおっしゃる。
アマチュア時代の倉本プロにも「3秒以内に打て!」と教え、福井プロ自身はさらに早く打っていたと述懐している。
「早射ちマック」は、ことを急いて失敗するときの揶揄として使われることが多い。しかし、生活がかかっているプロと違い、アマチュアには「早射ちマック」を推奨したいぐらいだ。
「プロのものまねが、ゴルフの悪癖になりつつある」と言ったのは、南アフリカの黒豹ことゲーリー・プレーヤーである。
プレーヤーは、プロのスロープレーが悪癖になりつつあるのを嘆いたうえで、「悲しいことに、こうしたぶざまな動作はものまねされるから、ゆっくりとゴルフを行うことがいいことだと誤解したゴルフファンがプロのものまねをするおかげで、世界中のゴルフコースでプレーがなかなか進まない」と言っている。
「プロは、早いプレーのお手本を示すべき立場だ」と言ってくれているのはとてもありがたい。一方で、子どもを学校に通わせ、教育費を払い、家のローンも支払わなければならないのだから、一打で何百万円も収入が変わるとなれば慎重にならざるを得ないのも理解はできる。
ところが、アマチュアは生活がかかっているわけではない。ゴルフ本来のマナー精神に戻るべきなのはもちろんだが、スコアのうえでも早打ちのほうがいいのではないかと思う。
さっさと打ったほうがリズムを保てる
よく、「いいショットを打つには、プレショット・ルーティーンを確立し、毎ショット同じルーティーンをすべきだ」なんてことをしたり顔で推奨しているレッスン記事を目にする。
たしかにプロの動作を見ていると、ボールの後ろから方向を確かめ、素振りを2~3回、ボールに近寄ってアドレス、ワッグルを2~3回、呼吸を合わせてスウィング開始……なんてことを毎回30~40秒ぐらいかけてやっている。
誤解を恐れずに言えば、アベレージゴルファーの場合、そのような儀式に時間をかけても、たいした効果はないと思う。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
ゴルフは名言でうまくなる
スコアアップの鉄則は、古今東西・名選手の金言に学ぶ。読むだけで100を切る! 知的シングルゴルファーになるためのヒント。
- バックナンバー
-
- 「われわれは人間である以上、すべてのミス...
- 「ヘッドスピードを上げるには、インパクト...
- 「レギュラーツアーではもう7番アイアンは...
- 「スタンスは楽に動ける幅であって、長いク...
- 「殴られて言うことを聞く者はいないよ。た...
- 「カップに打つんだ、という意識を持つこと...
- 「May the Force be wi...
- 「弱気は最大の敵」――津田恒実
- 「恥ずかしいのはハンディが多いことではな...
- 「プレーヤーは自分のスタート時間にスター...
- 「ティーグランドは、コースのなかでも特に...
- 「ポーカーフェイスは、その後のプレーでミ...
- 「俺は何に対しても縛られたくないんだ。」...
- 「ゴルフの上達に近道はない」――スコット...
- 「スイングにリズムを与えるためには、ボー...
- 「スウィングの始動前に、肺の奥底に少しだ...
- 「高速カメラやテレビは、スウィングをはっ...
- 「進歩の遅い人間に限って、スイングのあれ...
- 「顔が良くて、打ち損ないが少ない。それこ...
- 「パッティングでもショットと同じ様にタメ...
- もっと見る