50年に1度の「パラダイム・シフト」が起きているといわれる外食業界。どうすれば自分たちのお店を繁盛店にし、将来にわたって生き残ることができるのか……。業界シェアナンバーワンを誇る予約台帳サービス「トレタ」を開発・運営する、中村仁さんの『外食逆襲論』は、外食産業に従事している人なら必読の一冊。あの堀江貴文さんをして、「これを読んだ人しか、未来の外食業界で生き残れない!」と言わしめた本書より、重要ポイントを抜粋してご紹介します。
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「業界の外」へ打って出よう
お気づきのように、ここまで挙げた新しい形の飲食店、飲食サービスは、そのほとんどが「業界のアウトサイダー」による発想です。「ウーバーイーツ」も、「シェフの派遣サービス」も、そして「ダイニングアウト」も、外食業界の中から出てきたものではありません。
業界にどっぷり浸かった私たちが現状に四苦八苦している間に、外部のいわば「素人」が、次々と参入してきている。悔しいですが、私たちにこうした発想をするのは無理なのでしょうか。
私はそうは思っていません。かつてはマクドナルドも、すかいらーくも、吉野家も、米国で開発されたPOSをただちに導入したり、フランチャイズという新たな商売のしくみをつくったり、革命的な発想をしてきた歴史があります。私たちにできないはずがないのです。
外食という領域があるとして、アウトサイダーは次ページの図のように隣接領域から入ってきます。そして少しずつ外食産業の領域を削られているのが、残念ながらいまの状況です。ようするに、市場を奪われているわけです。
しかし発想を変えて、「自分たちが隣接領域に打って出る」と考えたらどうでしょうか。
見方を変えれば、外食という領域を広げていくことができるのです。外食という産業が、いままで以上に大きなマーケットへと生まれ変わる可能性があります。
このまま中に閉じこもって、業界の内側でマーケットが削られていくのを黙って見ているのか。それともチャンスととらえて、外へ拡大していくのか。まさに運命の分かれ目です。
外食産業の市場規模は、1997年をピークに縮小を続けており、上昇に転じる兆しはないとお伝えしました。しかし私は、外食業界で働く人たちがいまを外食の領域を拡張するチャンスととらえて行動すれば、市場規模がふたたび拡大に転じる可能性は十分にあると思います。
「反対意見」が多いほど成功する
私自身もまた、かつては「アウトサイダー」でした。何の経験もないまま、外食業界に飛び込んだのです。ですからアウトサイダー、インサイダーの両方の気持ちがわかります。
そんな私が外食業界の人たちにお伝えしたいのは、「反対されてナンボ」ということです。
「みんなが賛成することはたいがい失敗し、みんなが反対することはたいてい成功する」
これは、セブン- イレブン・ジャパン代表取締役社長、イトーヨーカ堂代表取締役社長などを歴任した、鈴木敏文さんの言葉です。私も全く同感です。経験上、反対意見があるほどうまくいくという確信を持っています。
たとえば、私が和風スタンディングバー「壌」を開こうと言い出したとき(立ち飲みブームが訪れる前の2003年頃)は、「イスのない店にお客様なんて来るはずがない」と言われましたし、インテリアに最高級の素材や建具を使ったときは、「たかが立ち飲み屋に、そんなにお金をかけるなんて頭がおかしい」と言われました。
高級とんかつ店「豚組」を開こうとしたときも、「そんなに高い値段のとんかつなんて誰が食べるんだ」と言われました。ところがいざふたを開けてみると、「壌」も「豚組」も繁盛店になったのです。
もちろん、すべての反対意見を無視しろとは言いません。聞く価値のある意見もたくさんあります。ただ経験上、意見を聞きすぎると失敗します。
聞けば聞くほど影響され、結果的に無難な、面白みのないアイデアに終わってしまうことが多いのです。
ましてや業界のあり様が一変しようという時代です。リスクをとらないことこそが最大のリスクになる。そういう認識を持って頂きたいと思います。
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10月31日まで、飲食業界に携わる方たち限定でこの書籍のPDF版を無料で配布します。トレタのフォームから情報をご記入の上、ダウンロードしてください。
外食逆襲論
50年に1度の「パラダイム・シフト」が起きているといわれる外食業界。どうすれば自分たちのお店を繁盛店にし、将来にわたって生き残ることができるのか……。業界シェアナンバーワンを誇る予約台帳サービス「トレタ」を開発・運営する、中村仁さんの『外食逆襲論』は、外食産業に従事している人なら必読の一冊。あの堀江貴文さんをして、「これを読んだ人しか、未来の外食業界で生き残れない!」と言わしめた本書より、重要ポイントを抜粋してご紹介します。