苦しいときに耐え、信念を貫くことで、風は吹く。さまざまな重圧を乗り越え、現在も活躍を続けるサッカー元日本代表GK(ゴールキーパー)、川島永嗣。彼の著書『耐心力 重圧をコントロールする術がある』は、重圧をコントロールし、成功をつかむための術を教えてくれる、ファンならずともためになる一冊。読めば「心の体力」がつくこと間違いなしの本書より、一部を抜粋してお届けします。
「いい本」は何度でも読む
気分を変えて、最近少し変わってきた僕の読書のスタイルの話でもしようと思う。
以前から「自分に合う」と感じた本については、一度限りではなく、たまに読み返すことで“自分のモノ”にした気になっていた。
でも、それじゃダメなのではないか。内容をしっかりと理解し、吸収し、実践できたと感じるまで何度も読まなければ、その読む価値のある1冊と向き合う意味がない。「100回」というのはあくまで目安だけれど、それくらい何度も読み込む。
例えば、ベンジャミン・フランクリンについての『成功のためのフランクリン13の徳目』(中里至正/ごま書房)という有名な本がある。スラスラと読めてしまう本だから、一度の完読ならあっという間に終わってしまうだろう。でも、1カ月も経てば、自分の中に取り込んだはずの何かが抜け落ちてしまう。
だから僕は、1週間にひとつずつ実践するように心がけ、1週間の終わりに本当にできたかどうかを自己評価する。そうやって13週かけてじっくりと本を“自分のモノ”にする。それくらい真摯に向き合わないと、すぐに忘れてしまうから。
そうやって言葉で説明すると、自分でも「窮屈な生き方だなあ」と苦笑いしたくなる。でも、興味が湧いたもの、好きなものに対してはそれくらいの熱意を持って向き合わないと本当に自分のためにならない。
本から教わった生きるヒント
苦しい状況でこそ規則正しい生活を実践することの大切さも、本からヒントをもらった。
『無人島に生きる十六人』(須川邦彦/新潮文庫)は、船が遭難して無人島にたどり着くストーリーだ。16人の船員がどのようにして生き延びたかを綴った物語には、追い込まれた状況でどのように振る舞うべきかのヒントがたくさんある。
スケジュールを決めて、それに従う。自分がどんなに苦しい状況に置かれても、自分より苦しく厳しい状況に置かれた人がいることを考えて卑屈にならない。僕自身、そういう状況に直面して、笑い話にできるくらい前向きに生きようと思えたのはこの本の影響が大きい。
もうひとつは浪人時代に読んだ本で、『ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。』(湯澤剛/PHP研究所)。父親の会社が潰れて、それまで普通の生活を送っていた人が40億円の借金を背負う。社員のために主人公が奮闘する物語は、実話だからこそリアリティがあり、学べるポイントがたくさんある。
こういう本を読んで、つくづく思う。
どんな世界でも、本当の意味で生き残っていけるのは、“価値のある人”なのではないかと。ここで言う「価値」とは、時代に流されない生き方をしているからこそ得られるもの。
完全に個人的な意見だけれど、時代の流れに従ってばかりいたら、つまり長いものに巻かれるような生き方をしていたら、新しい価値、本当の自分らしさを示せないまま人生が終わってしまうと僕は思う。
だからこそ、もし本当にやりたいと思うことがあるのなら、どんなに苦しくてもチャレンジするべきだ。そこで感じたことを糧にして、その糧をオリジナリティに変えながらどんどん突き進めばいい。
それこそが人生の醍醐味なのではないかと思う。もし、それもなしに、うまくいかないことを自分以外のせいにしていたら、それこそ、自分の人生になんの意味も見いだせなくなってしまう。
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耐心力 重圧をコントロールする術がある
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