「あんた相変わらず20代と変わらない可愛らしい顔してるわねえ、親の欲目かしら」「そう? お母さんも30代の若さ損なってなくて、いいセンだと思うよ」「あらそう?」「そうそう」。
私と母はよくこんな会話をして、若さにしがみつく心をお互いに支え合って生きてきた。だがまあ、私も40代になって、もういい加減、年齢それなりでいいじゃんと考えるようになり、「きれいでいたい」とはすごく思っているが、「若さを損ないたくない」とは思わなくなった。
若さというのも、「健康で元気な若々しさ」という姿を想定しているのならいいと思うが、私も母も、どうも自分の現実からかけ離れた、どこか非現実的な「きらきらしたもの」をあてどなく追いかけているような気がしたからだ。
もはやフェイクです。美カメラアプリ。
こういった女性の心のスキマに入り込み、「きらきらしたもの」「キレイなもの」を求める女心を巧妙につかむことで、若い女性の間で大流行しているスマホアプリがある。自撮りの際に、肌や顔の輪郭、体型などを補整する「美顔アプリ」「美カメラアプリ」と呼ばれるものだ。
かつてはゲームセンターの「美白プリクラ」など、肌が白く写ったり、目がくりくりと大きく写ったりするプリクラ機がブームになったが、舞台はスマホに移り、インスタグラムなど写真系SNSがブームになった2014年ごろから登場しはじめ、年々急増、補整技術も着々と進化しているようだ。
ためしに、「Ulike(ユーライク)」というアプリを使って自撮りしてみた。このアプリには、光の加減や画面の色調を選ぶフィルター機能と、自分好みのメイクを顔の上に合成する機能、そして顔の輪郭や目の大きさ、鼻筋、口元の形状を修正したり、シワやシミを消し去ったりする機能がある。ためしに、一枚撮ってみる。
おおう!? なんてこった。肌がすっかり白くすべすべになり、ちょっと大きくなった目には自力では不可能なメイクがほどこされ、なんだか顔の周りにお花が散っている! こ、これは……。「補整」の域を超えて、軽く「フェイク」になっている気がするが。どうせだから機能をフル活用して、小顔機能を使って顎を小さくしてみる。
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オオカミ少女に気をつけろ!
嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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