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おとなの手習い

2019.10.19 公開 ポスト

「私の人生に欠けていたのは真剣さだった」と後悔する56歳の秋香山リカ

(写真:iStock.com/Thiago Santos)

2016年9月になる頃から通い始めた自動車学校。

技能教習つまり実際の運転のレッスンは、拍子抜けするほど楽しかった。いや、もちろん、休憩時間に、受付で指定された番号の教習車の助手席に乗り込んで教官を待つときは、毎回ものすごく緊張する。次の時間が始まる音楽が鳴って教官が運転席にスルリと滑り込んでくるまでは、その日の担当教官が誰なのかわからないのだ。

教官には60代と思われるベテランから20代の若手、それから女性も1割ほどだがいて、どの人もとてもキビキビしていた。ただ、私が大学時代に通った教習所にいたような、「あー違う違う!」とイライラを隠さなかったり、「医学生? ムリムリ」とイヤミを言ったりするような人はひとりもいなかった。「北風と太陽」で言えば、完全な太陽タイプばかりだ。

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ときどき悔やむ。ときどき寂しい。 でも大丈夫。これが私の選んだ道。私の幸せのかたち。 さまざまな理由で、生涯子どもを持たない・持てない女性が全女性の3割とも言われています。 「女は子どもを産み育てて一人前」「女の本当の幸せは子どもを持つこと」という伝統的価値観はまだまだ強く、さらに最近は、少子化対策が国をあげての課題となり、子育ても仕事も頑張る「ワーキングマザー」が礼賛されます。 そんななか、子どもを持たない人生を選んだ「ノンママ」は、何を思い、どんなふうに生きているのでしょうか? それぞれの事情、悩みと葛藤、後輩ワーキングマザーとの軋轢、介護と自分の老後の不安等々。「ノンママ」のリアルな胸のうちを、自身もノンママである精神科医の香山リカ氏が、ときに切なく、ときに明るく描きます。

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おとなの手習い

60歳という人生の節目を前に、「これからの人生、どうする?」という問いに直面した香山リカさん。そこで選んだのは、「このまま穏やかな人生を」でなく、「まだまだ、新しいことができる!」という生き方。香山さんの新たなチャレンジ、楽しき悪戦苦闘の日々を綴ります。

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香山リカ

1960年、札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会批評、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。『ノンママという生き方』(幻冬舎)、『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』『イヌネコにしか心を開けない人たち』『しがみつかない生き方』『世の中の意見が〈私〉と違うとき読む本』『弱者はもう救われないのか』(いずれも幻冬舎新書)など著書多数。

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