2016年9月になる頃から通い始めた自動車学校。
技能教習つまり実際の運転のレッスンは、拍子抜けするほど楽しかった。いや、もちろん、休憩時間に、受付で指定された番号の教習車の助手席に乗り込んで教官を待つときは、毎回ものすごく緊張する。次の時間が始まる音楽が鳴って教官が運転席にスルリと滑り込んでくるまでは、その日の担当教官が誰なのかわからないのだ。
教官には60代と思われるベテランから20代の若手、それから女性も1割ほどだがいて、どの人もとてもキビキビしていた。ただ、私が大学時代に通った教習所にいたような、「あー違う違う!」とイライラを隠さなかったり、「医学生? ムリムリ」とイヤミを言ったりするような人はひとりもいなかった。「北風と太陽」で言えば、完全な太陽タイプばかりだ。
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おとなの手習い
60歳という人生の節目を前に、「これからの人生、どうする?」という問いに直面した香山リカさん。そこで選んだのは、「このまま穏やかな人生を」でなく、「まだまだ、新しいことができる!」という生き方。香山さんの新たなチャレンジ、楽しき悪戦苦闘の日々を綴ります。
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