この街の存在、この街の暮らしを知ってほしい
三陸沿岸部の漁師町に移住し、漁業にたずさわり、震災後の様々な困りごとに直面する日々の中で、ひとつの想いが生まれた。
こんな場所が、こんな暮らしが、世の中にはあるんだということを多くの人に知ってもらいたい。
そこで僕が取り組んだのは、トレイルランニングという野山を走るスポーツイベントの開催だった。地元の外から人を呼び、この街を実際にその目で見てもらおうと思ったのだ。
きっかけは、50歳代の知人が、SNSでトレラン(トレイルランニング)にハマっていると投稿しているのをたまたま見たことだった。ほかにも複数の知人がトレランにのめり込んでいるのを知り、時間とお金に余裕のある層がハマっているスポーツなら、集客が容易ではないかと思ったのだ。この世代は主にフェイスブックを利用しているようなので、情報拡散もしやすいだろう。トレランのイベントにしたのは、どちらかというと、そんな打算的な理由からだった。
ローカルイベントでありがちな、「無料で味噌汁を配ります」的な方法で、ただ地元の人を集めるだけのものでは意味がない。この街のことを知らない人々に集まってもらう。それも、それなりの参加費を払ってでも遠方から出向きたいと思わせるようなイベントでなければならないと考えた。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
移住サバイバル
東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住した山本圭一さん。家なし、知り合いなし、文字通りゼロから始まったサバイバル生活の記録。