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月が綺麗ですね 綾の倫敦日記

2019.11.17 公開 ポスト

日本の金継ぎ、イギリスで大ブーム中鈴木綾

ロンドンの書店に並ぶ金継ぎ哲学の本

「綾ちゃんはキンスーグって知ってる?」

と前のルームメイトにこの間いきなり聞かれた。

「キンスーグ?  って金継ぎのこと? 壊れた道具を金でつなぐ」

「そう! キンツギ。去年授業で勉強した。」

知っている人も多いと思うけど、金継ぎというのは、日本の伝統的な陶磁器の修理法のこと。割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着して継ぎ目に金や白金などの粉を蒔いて飾る。金継ぎしているところのことを「景色」と言って、骨董の茶碗なんかだと金継ぎしてあった方が価値が高かったりする。

ルームメイトが通ったビジネス・スクールの先生がリーダーシップのゼミで金継ぎの話をしたらしい。先生の説明によると、全てのリーダーたちには傷や過去のトラウマがある(リーダーじゃなくても誰だって忘れたい黒歴史がある。ベタなアクション映画ヒーローみたいけど)。いいリーダーになるには強くなるための教訓として自分の傷を金継ぎの美しいひびのように受け入れるべきだと。

この話をルームメイトに聞いてから、金継ぎのことをあっちこっちで見たり聞いたりするようになった。気になって色々調べてみた結果、イギリスでも他のヨーロッパの国でも、金継ぎは一つのブームになっていることがわかった。例えばアマゾンUKで「金継ぎの本」を検索すると150件も出てくる。その一冊は表紙が金継ぎっぽくなっている聖書。ううう…

キーワードの人気度を検索できるグーグル・トレンドで確認すると、外国人は2013年ごろから金継ぎに興味を持ち始めたようだ。理由はよく分からないけど、ちょうど2013年に円安になって日本に行く外国人観光客数が急に増え始めた。外国人が日本全体に関心を持つようになったのに合わせて金継ぎに関する意識が高まったと言えるだろう。
 

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イギリスに住む30代女性が向き合う社会の矛盾と現実。そして幸福について。

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鈴木綾

1988年生まれ。6年間東京で外資企業に勤務し、MBAを取得。ロンドンの投資会社勤務を経て、現在はロンドンのスタートアップ企業に勤務。2017〜2018年までハフポスト・ジャパンに「これでいいの20代」を連載。日常生活の中で感じている幸せ、悩みや違和感について日々エッセイを執筆。日本語で書いているけど、日本人ではない。

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