虹の彼方には、何もないことを僕たちは知っている。
30数年前、フジテレビの入社試験の第一次面接で、出願票の「将来の希望」という欄に、「歌って踊れる会社員になること」とふざけたことを書いた僕は、面接官に「じゃ、歌ってみな」と言われ、その場に直立して、ジュディ・ガーランドの「虹の彼方に」を英語で二節ほど、高らかに歌ってみせた。
僕はその前の年、帝劇の「レ・ミゼラブル」初演のキャスト・オーディションで第二次審査まで進んで、あえなく敗退という戦績を残し、それなりに歌は上手かったのである。
小学生の頃、ピンク・レディーの振りをコピって、休み時間に女子たちと踊っていたくらい、踊ることも好きだった。
思い返すに、ジュディ・ガーランドとか、ピンク・レディーの振りコピとか、なんて、ゲイ。
虹っちゅうもんは、ただの光の屈折だから、その向こう側に行こうと、何かがあるわけではない。
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美しい暮らし
日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。