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すばやく鍛える読解力

2020.02.10 公開 ポスト

読解力は速読や資料の飛ばし読みにも役立つ樋口裕一

79か国・地域の15歳約60万人を対象とした国際学習到達度調査(PISA)の結果が昨年公表され、日本は「読解力」が前回の8位から過去最低の15位に急落したことがわかりました。

“小論文の神様”樋口裕一さんの新刊『「頭がいい」の正体は読解力』(幻冬舎新書)は、まるでその結果を予見していたかのように、「第一章 なぜ日本人の読解力が落ちているのか」で始まります。さらに樋口さんは、「文章を読むだけでは読解力はつかない」とも指摘。では、効率的に読解力を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか?

樋口さんの指導が直接受けられる「3ステップ・簡単 読解力講座」も申し込み受付中です。

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iStock.com/jesadaphorn

ビジネスパーソンが資料や本に目を通すとき、じっくりと読む時間が取れることはむしろまれだろう。日々、大量の資料に追われ、楽しみのための読書ではなく、仕事の資料としての書物や書類に目を通さなければならない。その場合、しっかり読んでいたのでは間に合わない。飛ばし読みをして、要領よくポイントをつかみ、素早く判断するしかない。

そんなときにも読解力がものをいう。以下のノウハウを身につけると、効率的に飛ばし読みができる。

(1)すでに知っていることは読み飛ばす

飛ばし読みの大原則として、わかりきったことは飛ばすということだ。わかりきったところまで読んでいたら、きりがない。ただし、読み飛ばすにも注意が必要だ。

●まず、信頼できる書物・文書なのかを調べる

その書物を書いたのが誰なのか、どのような資料なのかによって、その信頼度を確認する。書物の場合、定評のある出版社の定評ある著者なのかどうか、書評サイトのレビューでどのような評価なのかを確認する。あるいは、社内の人間が書いた文書などである場合には、その人物の能力、人柄、評判を考慮する。それらがしっかりしたものであれば、ともあれ信頼できると判断する。

●調べるだけでなく、信頼度は自分でも判断することが必要

ただし、どんなに優れた人物であっても、どんなに評判がよくても、どのくらい信頼できるかは自分で判断する必要がある。

そうした場合、既知の部分を見て、その書物や文書がどのくらい的確にポイントをとらえているかを判断する。前もって、ある程度以上の知識のある人であれば必ず押さえておくべきポイントがきちんと含まれているかどうか、それがどのくらい正確かを確認する。判断できるポイントをあらかじめ作っておくとよいだろう。

ただし、そうしたポイントが書かれていなくても、それだけでその書物や文書が信頼できないととらえるべきではない。ほかの見方をしているために、その要素を軽視しているのかもしれない。何らかの深い理由でそれが含まれていないのかもしれない。そうしたことも考慮したうえで判断する。

●独自の視点が含まれていないかを確認する

既知のことについては基本的に読み飛ばしてもよいが、だからといって安心はできない。ところどころを読んで、独自の視点が含まれていないかどうかを確認する必要がある。たとえ既知のことを扱っていても、その書物や文書には独自の踏み込み、独自の分析が含まれているかもしれない。それを飛ばしては、大事なところを読み落としたことになる。

以上の点を念頭に置いたうえで、以下のように飛ばし読みをする。

(2)四部構成の「型」を認識して、重点的に読む

繰り返し説明してきた通り、多くの文章が何らかの「型」を踏まえて書かれている。

まず文章を見たら、どのような「型」で書かれているかを確認する。ほとんどの文章が、「問題提起」→「意見提示」→「展開」→「結論」の四部構成を踏まえているだろう。

それを意識しながら、どの部分にどのようなことが書かれているかを考えて読み進める。多くの書物が、「……だろうか。確かに……。しかし……。なぜなら……。したがって……」というパターンをとった小部分の重なりになっているだろう。それを踏まえて焦点を絞って読む。

(3)キーワードとその意味、「何に反対しているか」を明確にする

ほとんどの書物には、章や節などの何らかの単位がある。まずそこで扱われているキーワード(問題点)を明確にする。そして、それに対して、著者がどのような態度なのかを明確にする。それを意識しながら飛ばし読みするだけで、要点は理解できる。

(4)主張とその根拠を明確にする

もちろん、著者がどのような主張をしているか、どのような根拠を示しているか、それに説得力があるかを考え、その部分を中心にしっかり読む。

(5)裏づけのためのデータや引用は飛ばす

裏づけのためのデータや引用については、基本的にその著者の考えをうのみにして、飛ばす。もちろん、その著者の主張の根拠に疑念があるとき、反論したいとき、納得いかないときには、資料を読み返すが、とりあえずざっと理解することを求めているのであれば、それは後回しにする。

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この続きは、『「頭がいい」の正体は読解力』(幻冬舎新書)で! 読解力を鍛える練習問題を多数紹介しています。

幻冬舎大学では、樋口裕一さんによる「3ステップ・簡単 読解力講座」を2020年4月から開講します。「語彙力・作文力・読解力」3つのテーマに沿って、楽しく問題をときながら自然と読解力が身につく講座です。

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ものごとを正確に読み取り、理解する力=読解力。文章を読んで考えをまとめたり、会話で相手の意見に反論するときなど、あらゆる場面で不可欠だ。しかし、読解力のない日本人が増えている。読書量の不足やネット記事・短文SNSの普及による「長文を読み解く耐性がない」「言葉の意味は知っていても使いこなせない」ことが主な原因だ。本書では、問題を解きながら実際に言葉を使い、文章を書き、例文の要点をつかむという「語彙力」→「文章力」→「読解力」の3ステップで鍛えていく。飛ばし読みや資料の要約、会話やSNSでのコミュニケーションにも役立つ、現代人の必須スキルを磨く!

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樋口裕一

1951年、大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士後期課程満期退学。フランス文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、受験小論文指導の第一人者として活躍。現在、多摩大学名誉教授。通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長、MJ日本語教育学院学院長。250万部の大ベストセラーとなった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)のほか、『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)、『「頭がいい」の正体は読解力』『笑えるクラシック』(ともに幻冬舎新書)など著書多数。

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