もうすぐお正月。お正月といえば、初詣。
みなさんも、お気に入りの神社に、お参りに行くと思います。
そして、あれやこれやとお願いするのではないですか?
ただ、神社にはそれぞれ、いろんな神様が祀られています。
それも知らず、たとえば、縁結びの神様に学業成就を願って「パンパン!」みたいなこと、してないですか?「それは専門分野じゃないよー」って、神様だって困っちゃいます。
ということで、令和元年にめでたく発売となった『落語DE古事記』より、神様の話をいくつかピックアップしてご紹介しましょう!
* * *
~「第二話 島生んじゃったよ!」より~
心願成就や延命長寿にご利益がある神社
「天地【あめつち】の初発【はじめ】の時、高天原【たかまがはら】に成りませる神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、次に高御産巣日神(タカミムスビノカミ。以下、タカミムスビ)、次に神産巣日神(カミムスビノカミ。以下、カミムスビ)」
これが『古事記』の冒頭です。
……すでについていけない……という方はいませんか?
これは「天地が現れた時に、高天原というところに○○と△△と××の神が誕生した」ということです。
ボクも初めて読んだ時ビックリしました。天地が現れた途端に、いきなり神がいるんですから。しかも長い名前の。
突然すぎて面食らいますよね。ゴング直後にストレートもらったみたいですよね(我ながらいいたとえだよね)。
いかにも乱暴な出だしですが、ここはひとつ、大人になって飲み込んでください。
この3柱【はしら】の神が、まずは存在したのです。
はい! 早速、神様用語が出ました! 神様は1人、2人ではなく1柱、2柱と数えます。
この3柱の神が、高天原にいました。
高天原というのは神々の住んでいるところで、天地の「天」の部分です。カミは「神」であり「上」なので、やっぱりお空の上のイメージですよね(ドリフの雷様のイメージ)。
この3柱の神を「造化三神【ぞうかさんしん】」なんて言います。
ちなみにこの造化三神には男女の性別がありません(オネエでもないよ)。アメーバのように分裂したのかどうかはわかりませんが、また、2柱の神が生まれます(これも突然)。
以上の5柱の神を、合わせてゴレンジャー! ではなく「別天神【ことあまつかみ】」と言います(ゴッドファイブの方がカッコいいけどね)。
そしてこの5柱の神、特に何をするというわけでもなく消えます。
……はい、消えます。
「一番初めに生まれたから一番偉い神じゃないの!?」
……はい、当然の疑問だとは思いますが……消えます。
「一番初めに生まれたから一番活躍するんじゃないの!?」
……これ以上聞かれると、ボクが消えます。
『古事記』にそう書いてあるんです。現れたと思ったらすぐ消えてしまうんです。
そして、その先を読み進んでいっても、ほぼ出てきません。
しかし、この神々がまつられている神社ももちろんあります。
福島県の相馬市にある相馬中村神社や、埼玉県秩父市にある秩父神社がそれです。
この神様たちは、超自然的というか、無限の宇宙を表すイメージなので、心願成就や延命長寿にご利益があるとされています。
さて、この時、大地は未だクラゲのように漂っていて区別がありません。
そしてまた、2柱の無性別の神が生まれます。この神々も後に出てこないので省略します(なぜかゴレンジャーに漏れたベンチ組)。
~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』~
* * *
竹千代さんが書いているように、『古事記』の頭に早々に出てきていながら、以降はぜんぜん出てこないという「貴重な神様」=「別天神(ことあまつかみ)」がいるのですね。
心願成就や延命長寿にご利益があるそうですが、パワーも大きそうです。こちらの神様にお参りをしたい人は、福島県の相馬市にある相馬中村神社や、埼玉県秩父市にある秩父神社に行くのがよさそうです。
さて、次回は……先日、天皇皇后両陛下もご挨拶に行かれた「天照大神(アマテラスオオミカミ)」のお話を、本書よりご紹介します。
落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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