お正月が近づいています。お正月といえば初詣。
毎年なんとな~
落語家・桂竹千代さん著の新刊『落語DE古事記』より、今日ご紹介するのは、最強のパワースポットです!
さらに、芸能の神様もご紹介します。
* * *
「第七話 ナルシストかよ!」より
八百万の神様が集まっているスーパーパワースポットとは? 芸能で成功したい人のための神社とは?
アマテラスが岩戸の中にこもってしまうと、彼女は太陽神なので、世界中の光がなくなってしまいました。
そこで八百万(やおよろず)の神々が、天安河原(あまのやすがわら)に集まって会議を開きます。
この天安河原は、宮崎県高千穂町に伝承地があります。神話の舞台になることの多い宮崎県の中でも、高千穂は特に伝承が多い、神話の町です。第六話に出てきた「天岩戸神社」の裏手の道を15分くらい、流れが激しめの川を横目に見ながら歩いていくと、洞窟があります。ここが天安河原です。
鳥居が立っていて、小さい社やしろがある。看板には「祭神:八百万神」と書いてある。
こんな神社はここくらいだと思います。すべての神がまつられているんですから、もんのすげーパワースポットです。まあ結構歩くんで、行くまでにパワー奪われますけどね(こらこら!)。確かに参拝したらご利益あったんです! 帰り道に道端で100円拾ったんです。すごくないですか!? 1円や10円じゃないんですよ100円ですよ! ただ、お賽さい銭せんを奮発して1000円入れたんですよね。マイナス900円になっちゃった(こらこら!)。そうだ、お賽銭と言えば、最近ではお賽銭を電子マネーでできるそうですよ。ピッ! って。でもお賽銭はやっぱりチャリーン! ってのがいいですよね? 電子マネーでやったら、コウカ(効果・硬貨)ないですよね~(キマったよねこれは)。
とにかく。
八百万の神々が全員ここに集まって、岩戸を開くための会議をしたそうです。800万引くアマテラスですから、799万9999の神々がここに集まったんです。ちなみに大きさは8畳くらいでした。神ってちっさいのね。1畳につき100万くらいの神がいるわけです(ダニと同じくらいいるよね)。
ちなみにここ天安河原で、願いを込めながら石を積むとその願いが叶うと信じられているようで、周りには無数の石が積まれています。すんごい数です。川の向こうまで……どうやって積んだんだという……正直不気味なくらいです。でも、それくらいパワーがあるってことなんです。「全国でおススメの神社は?」って聞かれたらボクはまずここをご紹介してます。この光景とその力はぜひ一度行ってお確かめください!
スシ詰め状態の中、リーダーシップを執るヤツがいるわけです。
思金神(オモイカネノカミ。神の中で一番賢いとされる知恵の神。岩戸開きの司令塔。全国唯一の天気の神社、気きし象よう神社の祭神でもある。以下、オモイカネ)が招集をかけます。
オモイカネ「はい、みんな集合~!! このままだと暗いから。昼でも照明つけて電気代ムダにかかっちゃうから。アマテラスさんを岩戸から出そう。いろいろ作戦考えたから」
作戦(1)ニワトリ作戦!
オモイカネ「ニワトリが鳴くと朝になって太陽昇るから、出てくんだろ。ニワトリ集めまくって一斉に鳴かせろー!」
ニワトリ達「コケコッコ~!!」
シーーーン。
失敗!!
作戦(2)ドンチャン祭り!
オモイカネ「ぱーっと賑やかにやってりゃ、気になって出てくんだろ! まずは祭りに必要な鏡と勾玉を作って祝の り詞と(めでたい言葉)を奉れー!」
ここで作られた鏡と勾玉が、後に皇位継承の証となる「三種の神器」のうちの2つです(第九話参照)。
また、このチャプターで重要な脇役が2柱います。
天児屋命(アメノコヤネノミコト。以下、コヤネ)
布刀玉命(フトダマノミコト。以下、フトダマ)
フトダマは、祭りをする上で、鏡と勾玉を榊(さかき。よく神棚に飾ってある葉)の枝に取り付けて、これを供える役。
コヤネは、それにともなってお祝いの言葉を述べる役。
ここから少し先の話になりますが、このフトダマの子孫が忌部(いんべ)氏で、コヤネの子
孫が中臣(なかとみ)氏です。神話において先祖の神がこういう働きをしたので、後に大和朝廷でも神をまつる仕事に就いています。大和朝廷は、奈良あたりにあった日本で初の中央政権です。
ちなみにコヤネは、春日大明神(かすがだいみょうじん)とも呼ばれ、奈良県の春日大社にまつられています。
中臣氏は後に、古代において天皇家を利用し、権勢をふるいまくったあの藤原氏となりますので、春日大社はその氏神様(うじがみさま。神としてまつられた氏族の先祖)として有名になります。
さあ、お祭り準備おっけー!!
ドンチャンドンチャンえらやっちゃえらやっちゃよいよいよい……
シーーン。
失敗!!
神々「何だよあいつ。えらそーなこと言って。言うとおりにしても全然ダメじゃねえかよ」
と、神々が陰口を叩き始めたその時……!
謎の女神「私に任せてください!」
神々「ダレ? ……おお? ……おおー! いやーはっはっはっ!」
女神の正体は天宇受売命(アメノウズメノミコト。以下、ウズメ)。
いきなりおっぱい出して踊り狂うノミコト、現る!
これを見た神々が……
割り箸(ばし)に1万円を挟んでパンツに差し込みます。
のではなく……ただただ大爆笑!(リアクションおかしくない? 相当だらしないカラダだったとか? 腹に何か書いてあったとか?)
ちなみに『古事記』の中で「わらう」という言葉が、初めて出てくるのはココです。しかし「笑う」の字は使われていません。「咲く」という字で「咲う(わらう)」と読ませます。つまり花で言うと、「満開」は大爆笑ってこと。落語で客席が五分咲きの時は、満開のサクラが欲しいよね(うまいっ!)。
そして、このウズメの踊りが、日本初の芸能と言われます。だから彼女がまつられている神社は、芸能上達のご利益があるとされています。中でも一番ご利益があると言われるのが、アマテラスがまつられている伊勢神宮の近くにある「佐瑠女(さるめ)神社」です。このサルメっていうのが、ウズメのことです(理由は第二十一話参照)。
ここが芸能の神様の総本山なので、全国各地から、俳優を目指す人、タレントを目指す人、芸人を目指す人が、足繁く参拝に訪れます。ボクもお参りしました。佐瑠女神社のお守りを常に、肌身離さず携帯してます。あれからというもの、もんのすご~い……現状維持!!
まだ効果が現れません。
裸踊りなだけに、二つの意味でフク(服・福)をください。
~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』~
* * *
ということで、天安河原がスーパーパワースポットだったのですね!
そして、芸能の神様が祀られているのが、伊勢神宮の近くにある「佐瑠女(さるめ)神社」でした。
俳優さん、タレントさん、芸人さん、アーティストさんなどなど多くの人も参拝しているそうなので、芸能を目指す人は、ここに参拝しましょう!
さて、次回は……歯痛に効く神様!?
落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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