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落語DE古事記

2019.12.28 公開 ポスト

年末年始を温泉で過ごす人。行った先で、温泉の神様にちゃんとご挨拶を!桂竹千代(落語家)

もういくつ寝るとお正月です! 初詣のご予定は決まりましたか?
初詣で大事なのは「どの神様にご挨拶しているのか、ちゃんと知ること」。
落語家・桂竹千代著の新刊『落語DE古事記』より、今回紹介するのは、温泉の神様。そんな神様もいるんですね。
年末年始のお休みで、温泉に行く人は、必チェックですよ。

*   *   *

「第十五話 B型かよ」より

温泉に行ったら、温泉の神様を参拝しよう!

オオクニヌシが国作り&子作りをしていると、海の彼方より人影が現れます。

その神はガガイモ(蔓(つる)植物)で作った船に乗り、蛾の皮を丸剥ぎにして作った衣服を着ていました(どんな服? 流行り?)。

オオクニヌシ「えーっと……あなた誰ですか?」

謎の男「……」

オオクニヌシ「あの……聞こえてます?」

謎の男「……」

オオクニヌシ「いや、てんてんてんじゃなくてさ」

謎の男「……」

オオクニヌシ「ダメだこりゃ!(いかりや風)」

するとそばにいたヒキガエルが、教えます。

ヒキガエル「その神の正体は、カカシが知ってるゲロ」

オオクニヌシ「ありがとうカエルくん!」

ヒキガエル「あたしメスなんだけど」

オオクニヌシ「ごめん! 見た目じゃわからないから」

ヒキガエル「鳴き声が全然違うでしょ? メスはゲロゲーロゲロゲーロ。オスはゲロゲーロゲロゲーロ」

オオクニヌシ「……一緒じゃない?」

ヒキガエル「違うよ! メスはゲロゲーロゲロゲーロ。オスはゲロゲーロゲロゲーロ」

オオクニヌシ「……わからない」

ヒキガエル「もう! 青空球児・好児師匠に怒られろゲロ~!」

てなわけで、オオクニヌシはカカシ(畑にある動物除けのアレね)に尋ねます。

この世界は、動物でも作り物でも、何でもしゃべれるワンダーランドなのです。

カカシ「そいつはね、カミムスビさんのせがれの少名彦那神(スクナビコナノカミ。以下、スクナビコナ)だーよ」

カミムスビノカミ、たま~に出ますね(まさに神0 出鬼没)。冒頭に出てきた「造化三神」の1柱です(第二話参照。第八話にも出ました。お久しぶり)。そのカミムスビの子どもが、この神様の正体だというわけです(てことは先輩か? 敬語使うべき?)。

オオクニヌシは、早速カミムスビに聞いてみます(えっ!? 時代が全然違うと思うけど会えちゃうの? って意見はやめてね!)。

オオクニヌシ「カミムスビさんの子どもってヤツが来てるんですけど……」

カミムスビ「間違いなく、ワタシの子だ。ワタシの手の指の間から生まれた子だ」

オオクニヌシ「手の間からって……手垢?」

カミムスビ「そーゆーわけなんで、オオクニヌシ、スクナビコナと兄弟になって国を作りなよ」

オオクニヌシ「えー!? 全然知らないヤツといきなり兄弟なんてなれないですよー! てか、こいつ無口すぎるし、イヤです!」

カミムスビ「いいから兄弟になれ! 生まれた時は別々かもしれないが……死ぬ時も別々の仲になれ!」

オオクニヌシ「いやそれ当たり前の仲じゃないすか! 古典落語に出てくる、はっつぁんとくまさんの関係じゃないんですから(丁寧なツッコミ)」

こうして無理矢理に兄弟となったオオクニヌシ&スクナビコナのコンビ。ここから2柱で国を作り上げていきます。

スクナビコナは、温泉をたくさん作ったことから温泉の神様でもあります。

全国各地の温泉地にある温泉神社の祭神は、スクナビコナ。無口だけど開拓の神なのです。

ちなみに、ボクは温泉が大好きで「温泉ソムリエ」の資格をもってます。温泉ソムリエはすごい資格なんです。なんと4時間講義を受けると……もれなく取れます(簡単!)。温泉だけに「ゆ(湯)~だけ」って資格です。

……これはお湯に流してください。

 

~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』

イラスト:半崎リノ

*   *   *

日本中に、いい温泉がたくさんあるのは、温泉の神様スクナビコナさまのおかげですね!
温泉にいったら、ぜひとも温泉の神様のご挨拶を。

ということで、次回紹介するのは―――お待たせ! 商売繁盛の神様です。

関連書籍

桂竹千代『落語DE古事記』

日本の神様は、奔放で愉快でミステリアス! 海をかき混ぜて日本を作ったかと思えば、一目惚れしたり、嘘ついたり、嫉妬に燃えたり。女の取り合いで大蛇と喧嘩する神様も、娘の恋人をイタズラでいじめ抜く神様もいる。さらに神同士の殺し合いも度々勃発。壮大すぎて難解と言われる日本最古の歴史書を、落語家が爆笑解説でスラスラ読ませる。

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落語DE古事記

神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね! 

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桂竹千代 落語家

落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。

新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。

エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。

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