三が日も過ぎましたが、まだ初詣に行ってない方もいらっしゃいますよね?
初詣で大切なのは、「どの神様のもとへ参拝するか、ちゃんと知ること」。
落語家・桂竹千代さん著『落語DE古事記』より、今回は、交通安全の神様・猿田彦について抜き読みです。
2019年は痛ましい交通事故がいろいろありました。
もっともっと、交通安全を心がけたいものです。
* * *
「第二十話 コーヒーの神様」より
とにかく交通安全第一! ちなみに交通安全の神様は、新たな道を開きたい人にもご利益あり。
高天原より派遣されたタケミカヅチによって、地上世界はアマテラス軍団のものとなりました。
アマテラス「いよーし! でかしたわよタケミカヅチ! オシホミミちゃ~ん、地上世界は平定されて逆らうヤツいなくなったから、統治頼んだわよ!」
オシホミミ「はじめにママに地上へ行けって言われた時からもう10年以上経ったん
で(アメノホヒ三年ワカヒコ八年だからね)、忘れてたよ」
アマテラス「確かにあいつらのせいで時間かかったけど……行ってくれる?」
オシホミミ「実はその間に子どもが生まれたんで、我が子に行かせてもいい?」
アマテラス「えっ! 息子が生まれたってことはアタシの孫やーん! 大泉逸郎やーん! よく何年も隠してたわねぃ! きゃわい~!! 行かせたくない~! アンタが行ってよ」
オシホミミ「いや、やっぱ若い人が行った方がいいと思うよ。ホラ、かわいい子には旅をさせろって言うじゃない(めんどくさいから行きたくねー)」
アマテラス「ん~……それもそうね、これも社会勉強だと思って行ってもらおうか! 小さいうちから英才教育よ! そうと決まったらまごまごしちゃいられないわね(もちろん孫だけにね)」
というわけで、アマテラスの孫である邇邇芸命(ニニギノミコト。以下、ニニギ)とお供の一行が、地上へとやって参ります。
「天」照(アマテラス)の「孫」なので「天孫」。これが「天孫降臨(てんそんこうりん)」です。
なぜ子どもではなく孫を遣わしたのか? これは『古事記』編纂当時の政治情勢が関係しているのではないかと言われています。天皇の後継者は、通常その直接の子どもがなるわけですが、その子が皇位に就く前に死んでしまったために、孫が継ぐことになった例(孫が成長するまでお母さんや叔母さんが中継ぎで即位)が、この時期に、あるんです。「祖父母→孫」という継承を正当化するために神話に反映させたという説もあります。
さて、高天原からニニギが降りようとすると、下の方からまばゆい光が差し込んできます。
ニニギ「……ん~? 何かまぶしいな。何かいるな下に。ねえ、ウズメちゃん見てきてちょ」
ウズメ「はーい!」
ウズメは、アマテラスの岩戸隠れの時に裸踊りした、女性の神様(第七話参照)です。
ウズメ「おーい! そこに誰かいるのー? めっちゃ光ってるってことは、めっちゃハゲてんのー?」
??「めっかっちゃった!」
ウズメ「さんまさん? アンタ誰?」
??「私は猿田彦神(サルタヒコノカミ。以下、サルタヒコ)と申します!」ウズメ「へー! コーヒー好き?」
サルタヒコ「そうそう、猿田彦珈琲がね……って違いますよ!」
ウズメ「あんまりツッコミは焙ばい煎せんされてないね」
サルタヒコ「いやどんな意味ですかそれ!」
ウズメ「じゃさよなら」
サルタヒコ「ちょっとラテ!」
ウズメ「マテでしょ! やっぱコーヒー好きなんじゃない」
サルタヒコ「いやっ……つい」
ウズメ「で、何なのアンタ?」
サルタヒコ「天上世界から尊い神が来られるというのをお伺いしまして、地上までご案内しようと参じました」
ウズメ「それは助かる! ありがとうコーヒー屋さん」
サルタヒコ「はい、コーヒーだけにマメなんです」
ウズメ「……よくわかんないけどよろしくー!」
こうしてサルタヒコ先導のもと、ニニギ一行が地上世界へと参ります。
ちなみにサルタヒコは、市境とか区境とかいった境界、あるいは道の分岐点などの角にある神社にまつられています。道祖神(どうそじん。村境や道端にある石像、祠ほこら)としてもサルタヒコがまつられております。
サルタヒコは道案内をした神様なので、交通安全の神であり、また「道開き」の神でもあります。
新たなことにチャレンジする時は、サルタヒコにお願いすると道が開けるかもしれません。
サルタヒコがまつられる総本宮は、三重県鈴鹿市にある椿大神社(つばきおおかみやしろ)です。この境内に、松下幸之助社があります。まつられているのはあのパナソニック創業者である松下幸之助。「経営の神様」として鎮座しています。神様名は「松下幸之助命(マツシタコウノスケノミコト)」(そのまんま)。
~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』~
* * *
猿田彦といえば珈琲が最初に浮かぶ人も多いと思いますが、もともと猿田彦はとってもありがたい神様なのです。
ということで、交通安全の神様であり、道開きの神様である、サルタヒコですが、
わりとあなたの住んでいる家のすぐ近くでも祀られているかもしれませんね。
ただし、総本宮は、三重県鈴鹿市の椿大神社とのこと。一度参拝したいものです。
悲しい事故はもういやです。交通安全第一で、いい年をお過ごしください!
神様を知りたいあなたのための、神様部分抜き読み企画は、これにて。
以後は、ぜひ『落語DE古事記』をお読みくださるとうれしいです。
そして、あなたの一年が、素敵なものになりますように。
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落語DE古事記
神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね!
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