1. 身近な人との対面コミュニケーションが希薄
2019年もネットにまつわる事件がいろいろと起きた。特に、SNSやオンラインゲームのチャット機能などを通じて子どもが言葉巧みに誘い出され、犯罪に巻き込まれてしまう事件は後を絶たない。
SNS上には「JC(女子中学生)」「LJK(LAST JK=高校最後の年の女子高生)」「神待ち(泊めてくれる男性待ち)」などの隠語があり、家出願望を投稿する少女たちのもとには、男性と見られる送り主たちから「初めまして。良ければうちに来ますか?」「僕のところに避難しておいで」「どこ住みですか? 近ければ車で迎えに行きます」など無気味な書き込みが押し寄せる。
事件が発生すると、スマホのフィルタリング機能や、利用時間制限を設けるなどの対策が盛んに紹介されるが、焼け石に水としか思えない。
私は、まずは子どもを犯罪から守ることが第一なのだから、子どもに安易にスマホを持たせてきたことそのものについて考え直したほうが良いと思っているが、親がスマホ中毒だったりすると「そうは言っても便利だし、なくてはならないものだから」という話になってしまう。
ネット上で誘い出されて誘拐されてしまった子どもの中には、そもそも家族との関係に問題を抱えていたケースも多い。
今年11月、大阪府で行方不明になった小6女児が430キロ離れた栃木県内の交番に、靴も履かない恰好で現れ「男の人の家に1週間くらいいた。SNSで知り合った人」と話したことで発覚した栃木少女連続監禁事件では、小6女児のほか茨城県の女子中学生が保護された。
だが、大阪の小6女児は、1週間ぶりの対面に泣いて喜ぶ母親に対して喜ぶ様子は見せず、「家には帰りたくない」と言って捜査員を困らせたという。もともと母親がネグレクト気味で、母子の信頼が失われていたようだ。母親は事件後、「小5の頃からスマホを持たせていた」と話している。
また、茨城の女子中学生も、発見された当初「私は栃木の人間で、言われているような茨城の女の子ではありません」と主張し、親と面会したあとも「実家に戻りたくない」という意思を示したという。
子どもは人知れず孤立しており、その結果、スマホの中という誰にも見えないところで、甘い言葉で自分をかまってくれる人間と出会ってしまうわけだ。「なくてはならないものだから」と言っていて良いのだろうかと思う。
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嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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