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死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」

2019.12.25 公開 ポスト

なぜ「未来日記」は健康にいいのか その3

日本人の健康寿命が短い理由小林弘幸

自律神経の名医、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生の最新刊は『死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」』。先生が提唱する「未来日記」は、「達成したいことを完了形で書く」日記でも計画表でもない、1日の価値を上げる、まったく新しいツールです。

本書より、「みなさんの人生が満足いくものになりますように」と、願う小林先生のメッセージをお届けします。

*   *   *

日本人の健康寿命が短い理由

「あのころはよかった」

「18歳から人生をやり直したい」

「もっと違う人生があったのではないか」

「忙しくて未来を考える余裕がない」

「ただなんとなく毎日が過ぎていく」

「もう歳だから仕方がない」

愚痴と思い出話を耳にする機会が非常に多いと感じています。

そしてこれは、日本人の「健康寿命」に大いに影響を与えていると思います。

健康寿命というのは、介護を受けたり寝たきりになったりせず、自立した生活を送れる期間のことです。だから、平均寿命から健康寿命を差し引くと「介護を受けたり寝たきりになったりして、自立した生活を送れない期間」がわかります。

日本の場合、それはおよそ10年。

ぽっくり逝くことを理想にしている方は多いと思いますが、実際は約10年間も、自由に動けず、苦痛を伴う期間が待ち受けている恐れがあるのです。

日本の平均寿命はどんどん延びています。私が生まれた1960年度の平均寿命は、男性が65・32歳、女性は70・19歳でしたが、現在、男性の平均寿命は81・25歳、女性は87・32歳で過去最高を更新しました(2018年 厚生労働省「簡易生命表」)。そして2065年には、男性が84・95歳、女性は91・35歳になると予測されています(2018年 内閣府「高齢社会白書」)。

近年、健康寿命も少しずつ延びてきてはいるものの、平均寿命に負けない勢いで延ばしていかないと、自立した生活を送れない期間は増えるいっぽうになってしまうでしょう。

日本人の健康寿命の短さは、筋力不足、脳機能や免疫力の低下、ストレスなど、さまざまなことが絡み合って生じています。

しかし、その根本的な原因は「前向きになれない人が多い」ということにあると私は考えています。

健康寿命を延ばし、一人ひとりが自分らしい人生を謳歌(おう か)するためには、「前向きに生きること」が非常に大切です。なぜなら、前向きに生きないこと、つまり愚痴と思い出に浸ることは、心と体にさまざまな悪影響を及ぼすからです。

「愚痴はなんとなくわかるけど、思い出に浸るのもダメなの?」と、不思議に思われるかもしれません。

たしかに、私自身も過去の思い出に浸っていたころは幸せなような気がしていました。アイルランドの有名な曲『You Raise Me Up』を流しながら、そのころ歩いていた道、訪れたお店、出会った人々などに思いを馳せるのです。それは、ずっとそうしていられるくらい穏やかな時間でした。

しかし、音楽を止め、現実の自分に戻ると、なんだかぐったりしているではありませんか。しんみりしすぎて、やる気も出ません。これは、まさに自律神経のバランスが乱れた状態です。

もちろん、ときどきアルバムを開いて、昔のことを懐かしむ程度であれば問題はありません。私が危険視しているのは「未来を見たくないから、過去に執着する」というネガティブな状態のことです。

自律神経を研究している医師として断言します。

愚痴と思い出に浸ることは、自律神経のバランスを乱します。そして、腸内環境が悪化して免疫力が低下し、病気になり、心の活力を奪います。

すると、日常は次のようになります。

気分は沈んでいるし、体調も悪い。当然、積極的にどこかへ出かけようとは思いません。それによって、筋力が低下すると同時に、脳への刺激不足で脳機能も衰えます。その結果、誰かの手を借りないと生活できなくなり、健康寿命が短くなってしまうのです。

小林弘幸『死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」』

過去を修正することはできませんが、未来はこれから築くことができます。
「未来日記」は、未来の自分と向き合うことで前を向き、充実した人生を歩んでいく基盤となるものです。

<目次>
第1章 なぜ「未来日記」は健康にいいのか
第2章 未来を明るく考える10のヒント
第3章 未来日記の書き方
第4章 「未来日記」の効果を上げる生活習慣

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死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」

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小林弘幸

1960年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのパフォーマンス向上指導にかかわる。『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』『「これ」だけ意識すればきれいになる。自律神経美人をつくる126の習慣』『自律神経を整える「あきらめる」健康法』など、著書多数。

写真 ©Ichiro Kumada

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