先日、芸能人の男性が結婚をした。その相手の人が彼と付き合っていることをSNSで「匂わせていた」とバッシングされているらしい。
匂わせるとは、たとえば彼とおそろいの服や物の写真を上げたり、彼がテレビ番組で貰った花束と同じ花を家に飾っていたり、そのアイドル歌手の名前を文章に混ぜ込んだり、ようするに、この二人付き合ってるんじゃないの、と他者に勘繰られそうなことをわざとすることだ。
わたしは随分長いこと、「いやいや、そんなことして何の得があるの」と思っていた。きっと、ついうっかり載せてしまっただけに決まっている。だってばれたら困るのは自分だ。
デメリットしかないことをするなんて生存本能的におかしい、とずっとずっと思っていた。
けれど「うっかり」だけではないということを、この歳にしてわたしはようやく知った。どうしても匂わせずにはいられない人がこの世界には存在するのだ。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
愛の病の記事をもっと読む
愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。