今年は、カナダ、フィンランド、イギリス、アメリカ等、海外を拠点にした新連載が一気に増えた幻冬舎plus。旅行だと「住むように旅する」スタイルが最近人気のようですが、「住んで(大変さも)楽しむ」様々なエッセイは、どれも「へえ」の連続でした。書き手がすべて女性だったというところに今年らしさも感じたり。ランキングの“びっくり”指標は、plus副編の独断です。
カナダのコモンロー制度を使って永住権を取得した吉村さん。この回で彼女が参加したWorld Naked Bike Rideは、世界各地で何年も前から開催されている環境を考えるイベント。楽しい体感レポートで、<「裸」と「車社会」について考えた>考察が、自由で爽快で、生き物としての人間讃歌で、ちっちゃいことで凝り固まった自分の脳みそをほぐしてもらった快感からの第1位。裸の付き合いっていいですね。
2位 フィンランドで産んでみた!(ベイビーボックスありがたや篇) 芹澤桂
みんな大好きフィンランド。この連載は毎回人気で公開するとすぐランキング入り。日本の専門誌でもさすがに載っていないであろう出産話は、とくに人気で読まれていました。どこか情報過多で大変そうな日本と違って、全体にゆったりとしていて、人間らしい感じがいいのです。素敵です、ネウボラおばさん。そして選んだこの回は、フィンランド名物「ベイビーボックス」のお話。こんなかわいいセットが政府から支給されるとは本当に羨ましい限り。
最近はブレグジッドまわりで、イギリスといっても、イングランドとスコットランドでこんなに意見が別れて仲が悪いのか、と遅まきながら驚いていますが、この連載は倫敦(ロンドン)日記。「金継ぎ」の何がブームになっているのかというと、その「哲学」。見方も面白いですが、まさにいまの時代の話かもしれないと実感しました。
4位 取引先は家族? 日本人が知らない中国人の意外なビジネスマナー 小道迷子/渡邉豊沢
ビジネスでこういう交渉をするなんてすごい、と素直に驚き感動してしまった回。もう型版がなくなる古い商品を、値段を上げて、相手が喜んで買ってくれるなんて信じられますか? 恋愛観の違いも楽しくて驚きです。コミックエッセイ『中国人女子と働いたらスゴかった』からの試し読み記事です。
片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんの通訳として注目された飯田まりえさん。いまはニューヨークからロスに拠点を移して活動されていますが、その両都市にいたときの、いかにもな会話が書かれたこの回が、非常に印象深かったです。何語であれ、ただ「話す」だけではなく、「気持ちを伝える」コミュニケーションがやっぱり大事なんだなと、この連載を読むといつも思います。
<番外編>
キンコン西野のエッフェル塔の個展の裏話!~担当編集者が見てきました
とにかくすごいです。にしのあきひろさんのパリ、エッフェル塔での絵本の個展レポート。現場にいたらもっと震えただろうなあと思いますが、写真を見ているだけでも驚きの連続……。こういう空間を作れて世界中の人がたくさん来て喜んでいる姿を見るだけでも、幸せな気持ちになれます。本当は5位までのランキングですが、番外編として、感動を再度、お裾分けします。