小春日和。
地下鉄に乗って新宿三丁目まで。
伊勢丹の地下でサンドイッチを買い、地上に出てちょっと歩けば都会の森が現れる。新宿御苑の紅葉を見に来たのだった。
入場料を払って中に入る。平日なので混み合っておらず、しかし、海外からの観光客はそこここに。みな思い思いに写真を撮りながらのんびりと歩いていた。
金色に輝く大きなイチョウの木の前のベンチが空いていた。特等席ではないか。昼食のサンドイッチを食べる。
空の高いところで吹く風がイチョウの葉をワッサワッサと落としてくれる。
「金色の雨だね!」
小さな男の子の母親が弾んだ声で言ったのが聞こえた。
金色の雨は次から次から落ちてきて、気がつくとわたしのトートバックの中に積もっていた。
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前進する日もしない日も
仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。
編集部からのお知らせ
「前進する日もしない日も」は2022年4月にリニューアルしてスタートします。どうぞご期待ください!