幻冬舎plusのキャッチフレーズは「自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン」。身の丈にあわせて、ということではなく、世間の価値基準とは違う道はいろいろあるよね、ということを私たち自身も探していきたいと思っています。そこで、この回は、編集長の独断で、印象深かった〈自分サイズを生きる〉記事ベスト5を選びました。たとえ迷っても、自分で選んだ独自の道を歩くのは楽しいと思いたいです。
1位 この地球を「寺」にするしかない 稲田ズイキ
「寺」という場所に閉塞感を覚える27歳の僧侶の稲田さん。現代の寺に意味はあるのか? どんな在り方が可能なのか? を探すために、副住職を務めるご実家のお寺から家出してしまいます。「寺に定住する」という固定観念を捨てれば、「地球」が「寺」になるのではないか、と。他人の家を渡り歩き、助けられながら、僧侶であることの意味を考える日々。それが修行。苦しくなったら、視点を広くするってこういうことか! と刺激を受けました。
2位 安達祐実と君との間には、今日も違う時間が流れている 宮崎智之
宮崎さんは、簡単に熱狂せず興奮せず、日常を冷静に細やかに見ていくことで、そこに隠れていた熱を浮かび上がらせる書き手です。15年間変わらない生活を続ける友人、ケンイチに対しての思いを、吉田健一の批評『時間』とともに描き出すこの回は、とりたてて意味がないように思える過去の意味が変わるように思いました。「15年以上も同じ服を着て、ひとりで宅録していた目の前にいる男」は、時代のスピードに乗ることだけが正義じゃない、そんなことを教えてくれます。
3位 趣味も1個くらいは「ひとりでできるもの」を持っていた方が良い カレー沢薫
毎回、趣味のたとえが味わい深いカレー沢さん。「乱交パーティが好きだが、ソロプレイも楽しめる」「みんなでフェスにも行くが、部屋で1人音楽を聞いて過ごすことも出来る」と、連続で二つの例を挙げながら、1人で楽しむことのできる趣味を持つことの大事さを説いてくださいました。誰か相手がいないと暇もつぶせないのは、不自由ですね。まずは自分で自分を楽しませることができる、そうありたいと思いました。
4位 都会から逃げ出したかったとき、震災が起きた 山本圭一
震災直後に石巻に移住した山本さんの連載は、今年の1月1日に始まりました。驚くのは、最初はまさに「何もなかった」というその生活。津波に流されなかった(とはいえ、津波で一度水没している)家の中にテントを張り、夜はロウソク、水は沢の水、煮炊きはバーナーや薪を利用したのだそう。「自分サイズ」とスローガンを掲げていることが申し訳なくなるような、自分で作り上げる生活の臨場感があります。
5位 56歳からの教習所通い 香山リカ
免許を持ってない私。このまま一生車を運転することはないのだろうなと思っていたところに始まった香山リカさんの「おとなの手習い」連載。香山さんが56歳で教習所通いを始めても、教習所の方々は驚いたりしなかったそう。「この広い世界で私だけ」ということはそうそうないのだな、と思いました。実際に人生は変わるかどうかわからないけれども、いくつになっても新しいことを始められるというのは、間違いなく希望だと思いました。