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女は、髪と、生きていく

2019.12.26 公開 ポスト

ヘアページのおかげで「お前みたいなブスが書くなよ」から自由になれた佐藤友美(ヘアライター・エディター)

11月末に発売になり、発売即重版となった『女は、髪と、生きていく』。本書はヘアライターとして20年近く活躍してきたNo.1ヘアライター・佐藤友美(さとゆみ)さんの最新刊になります。髪の本であるにも関わらず、「泣きました」「人生のスイッチが入りました」「美容師として全同業者とお客さんに読んで欲しい!」と発売直後から反響続々の本書。テレビや雑誌、ウェブで紹介され続けています。今回は、「自分らしさ」という曖昧な言葉の呪いをさとゆみさんがほぐします。

 

自分らしさとはいったい何か

「らしさ」って、いったいなんでしょう。美容の仕事をしていると、必ずこの「らしさ」問題にぶつかります。

「自分らしさを大切にしよう」と、よく言われます。髪型を選ぶときも「自分らしい髪型にしたい」と話す人はたくさんいます。
でも「自分らしさって、何のこと?」とあらためて聞かれると、みんな、困ってしまうのではないかと思います。

ありのままの自分のこと? 
それとも、自分が居心地のいい状態のこと? 
誰かに言われた「それって、○○さんらしい!」という言葉のこと?

この「自分らしさ」を、明確に説明できる人はいないんじゃないかと思います。

私だって、めっぽう明るいキャラで通っていますが、家に引きこもってケータイゲームをやっているときがもっとも幸せです。はっきり物を言うタイプだけど、意外と奥ゆかしいんだねとか言われると、きゅんっときて「三歩下がってついていきます♡」みたいになったりします。

私も、何が自分らしさなのかよくわかりません。

主語を自分に取り戻す

だとしたら、いったん、「自分らしさ」について考えるのはやめて、そもそも、「どんな自分になれたらいいか」を考えてみるのがいいかもしれない。

どんな自分でいられたら嬉しい?
どんな自分だったら、自分を好きになれる?
どんな自分を人に見せたい?

まずは、理想の自分を考えて、その理想の自分を実現する髪を選ぶ。髪を理想の自分像に設定すれば、内面もいずれ追いつきます。

つまり、理想のあなたを、「自分らしく」しちゃえばいいのです。

誰かに言われる「あなたらしい」ではなく、あなたが選んだ、こうありたいと思う「自分らしい」を、手に入れましょう。

私はこれを、主語を自分に取り戻す行為だと考えています。誰かのために生きるのではなく、自分のために生きる。そのために、ぜひ、髪を使ってみてください。その方法は、『女は、髪と、生きていく』の4章で詳しくお話しします。

髪には上下関係がない

ところで、私がここまで髪に思い入れを持ち、他の分野にわき目もふらずに専門のライターとして活動しているのには、ひとつ、理由があります(いや、本当は100個くらい理由があるのですが、ここではまずひとつ)。

それは、髪には上下関係がないということです。

たとえばメイクには「目指すべき顔」のようなものがあると感じます。

これまでいろんなメイクページを見てきましたが、デカ目を小さく見せましょうとか、二重を一重に見せましょうとか、そういう企画はなかった気がします。鼻を低く見せたり、顔を大きく見せたりするテクニックも聞いたことがない。

つまり、メイクには正解があるのでしょう。二重が正解で、高い鼻が正解で、顔が小さいほうが正解。正解という言葉は強すぎるかもしれませんが、多くの人は、「目指すべき美人顔」の方向に向かって、自分の顔をメイクしているように思います。

ダイエットも同じです。ウエストや太ももを太くしましょうというダイエット法は、普通はないですよね。

それに比べて、髪には正解がない。上下関係もない

ロングヘアのほうが偉いわけでもないし、ショートヘアがベストなわけでもない。その人にとって、似合う髪と似合わない髪があるだけ。

ロングでも美しくなりえるし、ショートでも美しくなりえる。100人いれば、100パターンの答えがあり、美しさがある。

私は、髪の、ここが、たまらなく好きです。

「髪」は誰かと比べる必要がない

「上下」がないということは、人と比べなくていいということです。人と比べなくていいって、心がすごく楽です。今、思い返せば、ライターになった私が、ヘアページの魅力にとりつかれたのも、それが理由だった気がします。

ファッション誌で働き始めたとき、私はそこに集う女性たちがまぶしすぎて、見た目コンプレックスをこじらせていました。

「このアイシャドウで一気に美人顔♡」とキーボードを打つたびに、「いやいや、お前みたいなブスが書くなよ」と自分ツッコミを入れながら書いていました。

でも、ヘアだけは違いました。ヘアページの撮影は「みんな違って、みんないい」が、楽しかった。

ヘアページには、雑誌撮影が初めてという読者さんがたくさんきます。

彼女たちは、最初は不安そうな顔でやってきます。でも、ヘアチェンジした自分の顔を鏡で見たとき、ほとんどの女の子はハッと息をのみます。多分、自分がこんなに素敵に見えることに驚くのだと思います。その次に、なんともいえない恥ずかしそうな顔をします。「これ、本当に私かな。なんか、いつもより可愛い気がする。でも自分を可愛いと思うなんておこがましいよね……。いや、でもやっぱり可愛い気がする……」。鏡を見ながら葛藤しているのが、手にとるようにわかります。

そして、自分の顔を右に向けたり左に向けたりして鏡に映して、やっと認めるんでしょう。「私、やっぱり可愛い」って。そうするとはじめて、泣き笑いのような顔になります。それらの過程を経て、パッとはじけるように顔が輝くのは、その数秒後です。若い子だけではありません。50代でも80代でも、それは同じです。

メイクルームの外からこっそりとその様子を見ている私は、いつも、胸がつかまれ心を打たれます。なぜなら「彼女はいま、自分のことをすごく好きになれたんだな」ということがわかるから。

元の顔立ちや体型や年齢やセンスに関係なく、髪は平等に人を輝かせてくれます。 それはなぜかというと、髪は、誰かが決めた正解を目指すのではないからです。人と比べてどうこうじゃない。ただただ、自分史上一番素敵になればいいだけ。誰にでも同じだけ、チャンスがある。

私は、髪の、ここが、たまらなく好きです。

そして、自分史上一番素敵になるためには、自分を掘り下げる必要があります。
年末年始に美容院に行こうと計画している方は、ぜひ行く前に『女は、髪と、生きていく』を読んでみてください。
美容院で「おまかせ」はNGです! どんな自分になりたいのか、イメージを明確にしてからお出かけ下さいね。

関連書籍

佐藤友美『女は、髪と、生きていく』

ファッションより、メイクより、人生を変えるのは「髪」だった! 8万部突破『女の運命は髪で変わる』著者最新作。「ずっと生き方に迷っていたけれど、読み終わってスイッチが入りました」(カウンセラー・35歳)、「泣きました。ここまで泣けるのに、笑顔になれる本」(主婦・43歳)、「髪型がしっくり来ない理由が分かった。"心に似合う髪型"をP130を参考に探したいと思います」(編集者・38歳)、「同業者にもお客さんにも、第4章を一番読んでもらいたい!」(美容師・41歳)など、発売前から大反響!「髪で人生を変える」本です。

山本あきこ『これまでの服が似合わなくなったら。 「40歳、おしゃれの壁」を乗り越える!』

「いつもの服がなんだかしっくりこない…」と思ったら、 "自分本位なおしゃれ"へ進むチャンスです! 1万人以上を変身させてきたスタイリストによる大人女性の魅力を底上げするファッション術。 ・肝になるのは「ほどよい色気」 ・最初に見直すべきは髪の毛 ・細い部分は「探して、出す」 ・似合わない色にとらわれない ・見た目と内面が一致すれば幸せになれる など。

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女は、髪と、生きていく

NO.1ヘアライター・佐藤友美さんの最新刊『女は、髪と、生きていく』試し読み。

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佐藤友美 ヘアライター・エディター

日本初のヘアライター&エディター。
1976年、北海道知床半島生まれ。20年弱のヘアライター人生で、約4万人、200万カットのヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。歯切れのいい解説で、テレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『道を継ぐ』(アタシ社)などがある。

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