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年の瀬の映画見納めというと最近は「スター・ウォーズ」の印象が強いので、2019年も今シリーズ最終作「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」という新作を見て納めた。そして前二作と同様に「アンパンマン」みたいだった。別にジャム作ったりバイキンと戦ったりするわけではないけど、女性が主人公になると、主人公にツッコミどころが少なく、また精神的な脆さがあまり露呈しないという点で、私は夕方に歯医者とかサウナでかかっている「アンパンマン」を見た時と同様の劣等感を感じがちなのだ。
別に、プリクエル(前日譚)の一作目を初めて劇場で観た16歳の頃から、長く楽しませてくれている「スター・ウォーズ」に今更文句はない。どのシリーズも三作目には結構無理が出てきて駆け足に終わっていた気もするし、その辺はこういった作品にいがちなもっとマニアックに解説してくれる人に委ねるし、みんなルークやアナキンへの思い入れが強く、そのぶんこの新シリーズ主人公のレイにいまいち愛着が持てないのも理解に容易(たやす)い。
でもそれだけじゃなくて、女がヒーローを代替するとどうしてこうアンリアルで人間味がないほど格好良くあらねばならないのだろう、と生身のオンナとしては甚だ不満に思う。男の子の夢を体現していたフィクションを男女同権時代にアップデートするような行為は、近年米国を中心に多くの場面で挑戦されてきたけど、そんな中で人類は、女の欠陥や欠乏を描き込みにくいという問題に直面しているらしい。
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夜のオネエサン@文化系
夜のオネエサンが帰ってきた! 今度のオネエサンは文化系。映画やドラマ、本など、旬のエンタメを糸口に、半径1メートル圏内の恋愛・仕事話から人生の深淵まで、めくるめく文体で語り尽くします。
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