2020年の国際舞台は、トランプ政権による「標的殺害」(targeted killing)で幕が上がった。イランで英雄視されるソレイマニ革命防衛隊司令官が3日、隣国イラクの首都バグダットで米軍によって殺害された。イランが8日に断行した在イラク米軍基地へのミサイル報復攻撃に対し、トランプ大統領は、「米国人の死傷者はいなかった」として米軍による再攻撃は避ける意向を表明。緊張は沈静化の方向に向かったが、米イランの軍事衝突の火種が消えたわけではない。特定の個人を狙う標的殺害は、極めて限定的な攻撃と言われるが、今回の要人殺害は、どちらの指導者も望まない大規模な紛争へエスカレートする危険を浮き彫りにした。
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トランプ時代の地政学
「世界の警察官を辞める」だけでは収まらず、いまや世界秩序の攪乱要因になりつつあるトランプ大統領のアメリカ。海外取材経験の豊富なジャーナリストであり、国際政治研究も続ける著者がトランプ大統領・アメリカの本音を読み解き、日本とのかかわりを考察する。