占いの勉強をするには、時間もかかるし、お金もかかる。
いや、占いに限らず、何か技能を身につけようと思ったら、それなりの金額を支払い時間をかけないとなかなかむずかしい。運転免許にしろ、簿記にしろ、自分の技能を向上させるためのノウハウは、そのへんにタダでおっこちていたりはしないのだ。
但し、ものすごく大多数の人間が、平均的な基礎のところだけが知りたいというもの、たとえば英会話やパソコンの基本操作、こういう類いなら、大量に情報が出回っているので、お金も時間もかけずに習ったり、身に付けたりすることは可能だろう。英会話なら安いテキストを1冊買ってきて、毎朝パンをかじりながらラジオ講座に耳を傾けていれば、旅行会話くらいなら楽勝だよという証言をいくつも聞いた。パソコンもインターネットの接続の仕方くらいなら、パソコンを購入するという意欲の向上のために無料のサポートセンターが電話1本でつながっている。なにより身の回りの詳しくて親切な人間が、困りはてている状態に手を貸してくれるのは、やぶさかではないだろう。
占いの勉強はどうだろう?
占いは、勉強するには、とてもマイナーな分野だ。
自分の運勢を知りたい人は多いけれど、自分の運勢を知る方法について知りたいという人は少ない。簡単に覚えられるならいいけれど、なんだか複雑だしめんどうそうだ。
雑誌を1~2冊買ってきて、今流行っている服はどんな感じで、どこへ行けばいくで売っているのか知りたい人間は大勢いると思うけれど、洋服の作り方から勉強しようとする人は、ほとんどいない。
めぼしい本を買ってきて、独学か、何かの講座を探して聴講するか。師匠について勉強するか、そのくらいしか方法がない。
それでも占いを勉強している。それでなんとか原稿を書いたり、鑑定でお金をいただける身分になったとまでいかなくても「いろいろなことがわかっておもしろいよー」と吹聴すると、
「占い、ものすごく勉強したいんだけど、お金も時間もないんです」という人に何人も出会う。それで講座料金を支払えるだけの自由になるお金を持っていることと、講座に出ている間に子どものめんどうをみてくれる人に恵まれていることを、うんと羨ましがられたりもした。
うん。
うなずくしかない。
うん、そうだよね。
散歩や旅行用英会話じゃなくて、わたしは当然、占いの技術を身に付けて、それで原稿を書いたり、鑑定したりしたりの金銭収入につなげていくつもりだったので、お金と時間は先行投資なのだと思うようにもしていた。そうでなければ、子どもを預け、家を空ける趣味としては、どう考えてもイキ過ぎている。
本音をいえばただ楽しかっただけの占いの勉強を、だらだらと続けている理論武装はそれだけだった。
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ツキが半分
占いページのない女性誌は、絶対成功しない。
かつて、占いページなしで新創刊という大英断を下しながらわずか2号で方針転換をした雑誌は、1冊ではない。
占いとあたしの、切っても切れない関係をセキララに綴る新連載!
※本連載は旧Webサイト(Webマガジン幻冬舎)からの移行コンテンツです。