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絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学

2020.02.18 公開 ポスト

とんかつは少量の油で揚げると柔らかくなる…調理学のプロが直伝松本仲子

だしのとり方、米の炊き方、肉の焼き方、野菜の茹で方……知っているようで知らない、料理の基本。女子栄養大学名誉教授、松本仲子先生の『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』は、そんな料理の基本をイチから教えてくれる、心強い一冊です。いつもの料理がもっと簡単に、間違いなくおいしくなること間違いなしの本書から、調理のコツ&すぐに実践できるレシピをご紹介します。

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肉はたたいてやわらかくし、筋を切る

とんかつを作るときは、まず、肉たたきやビール瓶で軽く肉をたたきます。これによって結合組織や筋肉組織がこわれ、肉全体がやわらかくなるのです。しっかりたたけば、筋繊維がこわれて箸で切れるほどやわらかくなり、年配の方やお子さんでも食べやすく仕上がります。

(写真:iStock.com/KPS)

また、豚ロース肉でとんかつを作るなら、脂身と赤身の間にある筋を切ります。筋の主な成分はコラーゲンで、熱を加えると縮んでかたくなります。あらかじめ包丁の先で筋を切っておくと、肉を揚げたときに筋が縮まず、赤身の部分がお椀状に丸まって衣がはがれるのを防げます。ちなみに、ヒレ肉は筋がないので筋切りをしなくても大丈夫です。

3層の衣が肉のうま味を閉じ込める

先にお話ししたとおり、揚げ物の衣は、食材の水分やうま味が流れ出るのを防ぐもの。とんかつは小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣をつけますが、これは小麦粉が肉の水分を吸収して膜を作り、さらに溶き卵が熱でかたまることでもうひとつの膜ができ、肉のうま味が逃げにくくなるのです。加えて、溶き卵はパン粉をくっつける役割も果たしています。

また、パン粉は水分が少ないため、こんがりと色づき、独特の香ばしさとサクッとした食感をもたらします。パン粉には、乾燥パン粉と生パン粉がありますが、乾燥パン粉は水分が少ないので早く色づき、カリッと仕上がります。一方、生パン粉は同じように揚げても浅く色づき、ソフトな食感となるので、2つの違いを楽しんでみてください

新常識 とんかつは少量の油で揚げるとやわらかくなる

とんかつなどの揚げ物は、たっぷりの油に入れて揚げるのが一般的ですが、食材が半分ほどつかる量の油で揚げる方法もあります。

この場合、低めの温度で揚げ始め、途中で上下を返しつつ、水分が充分に外に出るよう揚げ時間を長めにするのがコツです。これは洋風カツレツの手法で、和風のとんかつのように油の中で水分を一気に飛ばさないため、衣がしっとりとやわらかく仕上がります。

少人数の家庭で油の後始末に困るときや、揚げ物を作る機会が少ない家庭、また、年配の方やお子さんなど、やわらかめの食感が好みの人におすすめです。

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この続きは書籍『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』をご覧ください。

関連書籍

松本仲子『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』

女子栄養大学で50年以上研究してきた調理学のプロが教える“レシピには書かれていない”技と知恵。 理屈がわかれば、その「ひと手間」が省ける! 科学でいつもの料理がもっと簡単に、間違いなくおいしくなる! 調理別・食材別のコツがすぐに実践できる34のレシピ付き。

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絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学

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松本仲子

1936年生まれ。女子栄養大学名誉教授。聖徳大学大学院兼任講師。管理栄養士。医学博士。専門分野は調理学、官能評価法、食文化論。「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響」等の研究多数。著書に『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』(朝日新聞出版)、『調理と食品の官能評価』(建帛社)、『日本食と出汁―ご馳走の文化史―』など多数。

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