うつで寝込んでいた時期を過ぎ、料理ができるようになり始めた頃のこと。何をつくったらいいか、あまりアイデアが浮かばないので、一汁二菜の和食のワンパターンにしていた私が、もう一つ頼った料理が、具だくさんの汁もの1品だけの一汁献立だった。
その後7、8年経った2016年に出たのが土井善晴氏の『一汁一菜でよいという提案』である。具だくさん味噌汁と漬物という献立の提案で、家事の省力化を求めるムーブメントにのり、12万部を超える大ヒットとなった。そのとき私は「そんなに世の中の人たちは、おかずを何品もつけなければいけないと思っているのか」と驚いた。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。
うつ病になったら、料理がまったく出来なくなってしまったー。食をテーマに執筆活動を続ける著者が、闘病生活を経て感じた「料理」の大変さと特異性、そして「料理」によって心が救われていく過程を描いた実体験ノンフィクション。
- バックナンバー
-
- ひとは必ず、うつ病から立ち上がれる(香山...
- 「選ぶ」は、かなり難しい【再掲】
- 食い意地が生きる力を取り戻す【再掲】
- 36歳、うつ発症!【再掲】
- 料理は億劫であり、同時に楽しいものである...
- 料理は楽しいものだと思い出した日のこと
- 家事分担は「量」だけでは語れない
- 料理研究家・辰巳浜子さんの本から学んだ料...
- 「底つき」の馬鹿力
- 二つの震災とうつ
- うつと自分を切り離して考えるようになって...
- 外食の効能について考える
- 料理情報の波に溺れて病まないために
- 「ていねいな暮らし」になぜ私たちは愛憎を...
- 生まれてはじめて「生きてて良かった!」と...
- なぜ日本のキッチンはやる気を奪うのか
- 鍋を食べ終えるために床に寝転ぶ。
- しんどいときは一汁一菜に頼ってきた
- ワンパターン献立に救われる
- 「献立を考える」は何故ハードルが高いのか
- もっと見る