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美しい暮らし

2020.02.20 公開 / 2021.03.06 更新 ポスト

<違っていいと言える大人がいること>

茶色いランドセル【再掲】矢吹透

 子供のときに性役割の固定観念をどこで植え付けられるかといったら、テレビや学校、家庭が大きいのではないでしょうか。そんななか、身近にその性役割から自由な人たちが人がいてくれたらどんなに心強いでしょう。矢吹透さんの小学生時代のエピソードは、しみじみと興味深いものです。

僕が8歳の年に、我が家は日本に帰国し、吉祥寺の祖父の借家に戻り、生活することになった。

武蔵野市立井の頭小学校の二年生のクラスに、僕は編入する。

変わった転校生だったと思う。

香港という異郷から突然、やって来て、東南アジアでの暮らしで強い陽射しに晒され、灼けた僕の肌は浅黒く、茶色いランドセルを背負っている。

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関連書籍

矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

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美しい暮らし

 日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。

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矢吹透

東京生まれ。 慶應義塾大学在学中に第47回小説現代新人賞(講談社主催)を受賞。 大学を卒業後、テレビ局に勤務するが、早期退職制度に応募し、退社。 第二の人生を模索する日々。

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