かつて、私にバレエを習わせることを断固拒否した母(第28回「バレエとの、ウン十年前の出会い)ですが、今は私の大人バレエを応援してくれています。最近では発表会も見にきてくれるようになりましたし、レッスンの話を聞くのも楽しみにしてくれています。
発表会練習が始まる時期になると、なんとなくスタジオ内がざわざわします。私たちの先生は事前にアンケートをとり、皆の希望を訊きます。踊りたい曲はあるか、バレエシューズかポワントか、大人数がいいか少人数か等々。正直なところ「先生にお任せしますので、私のいいところがいい感じで出るようにヨロシク!」と言いたいのが皆の本音ではないでしょうか。しかし、そうも言えないので、あれこれ思い悩みながらアンケートに記入し、結果が気になって落ち着かない日々を過ごします。そんなプロセスを経て、今回、大人たちはパキータを演(や)ることになりました(第31回「発表会シーズンがやってきた)。
こういう話をすると、母は決まって、
「かわいいね」
と言います。
「いい大人が真剣になって」
「みんなバレエが好きなんやねー」
と。なるほどそういう解釈もアリかと、ざわざわの渦中にいる者としてはホッとしたり冷静になったりするわけです。大人バレリーナとはいえ、母からすればほとんどが子ども世代か孫世代。かわいいと感じるのは当然かもしれません。
そんな母が「あの公演はよかった」(公演ではなく発表会!)といまだに言ってくれるのが、スタジオの10周年記念の発表会です。子どもも大人も一緒に出演しての「白鳥の湖」全幕でした。
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いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。
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