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おとなの手習い

2020.02.22 公開 ポスト

マスクと入試監督と中国語の先生香山リカ

(写真:iStock.com/drxy)

中国・武漢市から始まった新型コロナウィルス感染症。日本でも感染者や死亡者が出ている。若い人、持病がない人は感染しても「重いカゼ程度」で回復するとも言われているが、一方で重症化したり長期化したりする人もおり、有効な治療法や防御法もないまま、世界が警戒態勢を続けている。

日本でも感染者が増えているが、そのあたりの空中どこにでもウィルスが蔓延というところまではいかず、感染者と接する機会がほぼない人は、マスクを着用するまでもないのではないか、と専門家は言う。

そもそも、ウィルスはとても微小であるため、すき間だらけの一般のマスクで鼻や口を軽くおおうくらいでは、ほとんど感染症を予防する効果はない、というデータもある。

一般の人たちがマスクを買い占めたため、医療現場でマスクを切実に必要としている人たちが購入できないという事態も生じている。友人の歯科医も、「業者から『当分マスクの発注は受けられません』という連絡が来た。いまクリニックにある分を使いきったらどうすればいいのかな」と困り顔で話していた。私は、SNSや雑誌の連載コラムで繰り返し「マスクの不要な買い占めはやめて」と訴えてきた。

そんな中、大学は入試のシーズンを迎え、私も何度か勤務先で監督業務を担当した。朝、受付で名前を告げると、担当教室の割り当てとともに毎回、マスクをわたされる。「受験生に不安を与えないように、監督は着用のこと」というお達しだった。

はて、どうすればいいのか……。

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香山リカ『ノンママという生き方 子のない女はダメですか?』

ときどき悔やむ。ときどき寂しい。 でも大丈夫。これが私の選んだ道。私の幸せのかたち。 さまざまな理由で、生涯子どもを持たない・持てない女性が全女性の3割とも言われています。 「女は子どもを産み育てて一人前」「女の本当の幸せは子どもを持つこと」という伝統的価値観はまだまだ強く、さらに最近は、少子化対策が国をあげての課題となり、子育ても仕事も頑張る「ワーキングマザー」が礼賛されます。 そんななか、子どもを持たない人生を選んだ「ノンママ」は、何を思い、どんなふうに生きているのでしょうか? それぞれの事情、悩みと葛藤、後輩ワーキングマザーとの軋轢、介護と自分の老後の不安等々。「ノンママ」のリアルな胸のうちを、自身もノンママである精神科医の香山リカ氏が、ときに切なく、ときに明るく描きます。

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おとなの手習い

60歳という人生の節目を前に、「これからの人生、どうする?」という問いに直面した香山リカさん。そこで選んだのは、「このまま穏やかな人生を」でなく、「まだまだ、新しいことができる!」という生き方。香山さんの新たなチャレンジ、楽しき悪戦苦闘の日々を綴ります。

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香山リカ

1960年、札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会批評、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。『ノンママという生き方』(幻冬舎)、『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』『イヌネコにしか心を開けない人たち』『しがみつかない生き方』『世の中の意見が〈私〉と違うとき読む本』『弱者はもう救われないのか』(いずれも幻冬舎新書)など著書多数。

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