中学校に入学した時、僕はクラスの男子の中で一番背が低かった。
当時の身長は、155センチくらいだったと思う(ちなみに、現在の僕の身長は175センチである)。
体の成熟が遅かったのだろう。
第二次性徴を迎えたのがいつ頃だったのか定かな記憶がないが、中学の音楽の授業の混声合唱の際、男子の中で僕ひとりがずっと、ソプラノのパートで歌っていたことを思い出す。
それは、僕のボーイ・ソプラノの歌声を評価した音楽教師の判断で、ソプラノ・パートのソロの部分まで任され、その特別扱いは、僕にどこか誇らしさを感じさせたのも確かだが、恥ずかしさもあった。
体が小さいこと、成長が遅いことは、僕にとってコンプレックスだった。
周囲の男子生徒と比べて、男らしさにおいて劣る、自分自身が嫌だった。
中学に入る前後には、僕は自分の性的指向を、明確に把握し始めていた。
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日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。