ブランドプロデューサー柴田陽子さんの新刊が2月20日に発売しました。
彼女の人生に迫り、成功の秘訣や仕事術を、ひも解いたのが、『勝者の思考回路 成功率100%のブランドプロデューサーの秘密』。
柴田さんは、名だたる企業のトップから指名されるブランドプロデューサーです。
その活躍は非常に華やかで、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)でも話題になりました。驚くことに、柴田さんは、独立して以来、「仕事をとるための営業をしたことがない」そうなのです!
それでも仕事の依頼が次々と寄せられています。そして着実に実績を残してきました。その秘訣を明かした本書より、試し読みをお届けいたします。
第3章「勝者の思考回路」を生んだストーリー~仕事に就いてからの私~より
信念と頑固は使い分けろ。協調と妥協も使い分けろ。
□ それは「信念」でなく、ただの「頑固」になっていないか?
□ それは「協調」でなく、ただの「妥協」になっていないか?
何事につけ私は、やるからには全力投球で、どこかで手を抜くのが苦手です。それによって自分の負担が増えたとしても、目指しているところに行き着くことのほうがずっと重要だという信念があるのです。
ただ、そうした信念が、気をつけないとただの頑固になってしまうと教えられたことがありました。
レインボー・ロール・スシの店舗設計は、非常に優秀な素晴らしいデザイナーさんが担当してくれました。しかしながら、私の未熟さゆえに、彼に対して数々の迷惑をかけてしまいました。
彼は当時から大変に有名な設計士だったにもかかわらず、コンペ形式に応じてもらわねばならなかったのです。しかも、これまた私のミスで、コンペの予算を立てていなかったために無料で。
それでも彼は、嫌な顔ひとつせずに私の説明に真摯に耳を傾けてくれ、最終的にパーフェクトな設計図を書いてくれました。私にできることは、そのパーフェクトな図面を形にすることでした。
ところが、いざ内装に入ろうとしたら、うまくいかないことがわかりました。簡単には外せない柱があって図面通りにならないのです。
図面通りに仕上げるためには、かなりのお金をかけてその柱をなんとかする必要がありました。当然、その費用は最初の計算には含まれていません。
私は社長に直談判しました。しかし、社長の答えは「NO」でした。
「そんなお金はムダだから、図面のほうを書き換えてもらいなさい」
それまでも彼には、何度も無理を言ってきた経緯があります。それに、私は彼とは感性を共有できているつもりでした。だから、なんとしてもその柱について妥協したくなかったのです。
「彼に、そんなことは頼めません」
反抗すると同時に、私にしてはめずらしく涙が出てきました。
そんな私に、社長はこう諭してくれたのです。
「信念と頑固は使い分けないといけません。あなたが今ごねていることは頑固にしか見えません。本当に信念なのか考えてみてください」
たしかに、言われてみると私はただの頑固になっていました。「これは絶対に譲らない」ということが目的になってしまって、「ほかに対処法はないのか」について探ることを放棄していたのです。
それになにより、開店に向けて頑張っているスタッフの気持ちに添えなくなっていたことが問題でした。みんなオープンの日に向けて情熱を注いでいるのに、1本の柱に執着する時間やお金がそれを削いでしまう、ということに思いが至らなくなっていました。
がーんとなっている私に、社長は「協調と妥協も使い分けることが大事です」とつけ加えました。
信念はいいけれど頑固はダメ。
協調はいいけれど妥協はダメ。
この2つのメッセージ、とても示唆に富んでいます。
あなたの周囲を見回しても、「頑固」と「妥協」の人が多いのではないかと思います。でも、そういう多数派の中に身を置いていると、どうしても同じ色に染まってしまいます。自分のベクトルが「信念」と「協調」に向かっているか、ときどきチェックしてみましょう。
* * *
何かにこだわっているとき、それがただの頑固なのか、信念なのかを一度立ち止まって考えること。なかなかできそうでできないことです。これを読んだあなたは、すでに気付くことができるはず。
次の更新は3月26日(木)。お楽しみに。
勝者の思考回路
柴田陽子さんの『勝者の思考回路 成功率100%のブランドプロデューサーの秘密』が刊行されました。
柴田さんは、名だたる企業のトップから指名されるブランドプロデューサー。
その業績は非常に華やかで、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)でも話題になりました。
なんといっても驚くべきは、柴田さんは「独立して以来、仕事をとるための営業をしたことがない」ということ。
それでも仕事の依頼が次々と寄せられています。そして着実に実績を残してきました。
そんな彼女の人生に迫り、成功の秘訣を、ひも解きます!