上質な服を30年も大切に着る、80歳になっても恋をする、なんでも「イエス」と言わない……。赴任先のフランスで出会った、年齢を気にすることなく、シンプルかつシックに生きる女性たち。そんなフランス女性の「美の秘密」に迫ったのが、『フランス人が何気なくやっているシンプル・シックな36の法則』です。私たち日本人も参考にしたい習慣が盛りだくさんの本書から、一部をご紹介します。
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食への意識が高いフランス人
ルイ十四世の寵姫、モンテスパン侯爵夫人は豊満な肢体を持つ絶世の美女で、七人の子の母親でもありました。相次ぐ出産で体重が増えはじめ(彼女だけではありませんよね!)、悩んだ彼女は食欲を抑えるために、大量の酢を飲んだと伝えられています。
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この話が多くの本や雑誌で取り上げられているせいか、フランス女性は太らないと思われています。
確かに、あまり太らないようです。それでも、数キロ太っちゃったわ、といった声はよく聞きます。
わたしがインタビューした女性たちは例外なく、スリムな体形になるのがいちばんの課題だと言っていました。
フランスという国は、全体的な印象として食の健康を重視しています。テレビのCMにいわゆる「スナック菓子」が登場すると(ヨーグルトやアップルソースも含めて)、画面の下に「野菜や果物は一日五品目以上摂りましょう」というテロップが表示されます。
最近見た離乳食のCMでも、嬉しそうな赤ちゃんの口にフルーツピューレをスプーンで運ぶお母さんの笑顔が映し出されましたが、画面の下に「子供に間食をさせないようにしましょう」というテロップが出ました。
警告メッセージは否応なしに目に入ってきます。
フルーツを積極的に摂る
離乳したばかりの幼児が食事のときに与えられる飲みものは、水です。子供の前に冷たいミルクが用意されることも、食卓の中央にソーダの大きなピッチャーが置かれることもありません。食事のときだけでなく、子供たちは喉が渇くといつも当然のように水を求めます。
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さらに、よちよち歩きをする頃にはフェンネルやキャベツをはじめ、いろいろなものを与えられるようになり、さまざまな食品の風味や舌触りも覚えていきます。その一方で甘いものはまだ口にしていないので、偏りのない味覚が育っていくのです。
そうした中で早いうちから母親や祖母を通して、食べものは敵ではない、と教えられます。真の敵は間食や偏食といった節度のない食生活なのだと。
少女たちはテーブルで正しく食べるだけでなく、キッチンで料理することも覚えていきます。八歳か十歳になる頃には、大人の手を借りずにアップルタルトをつくれるようになる少女も多く、材料を準備して、つくって、食べるまでの一連のプロセスの中で食の楽しさを知り、節度を身につけていくのです。
フランスの家庭では普通、夕食のあとに手づくりのフルーツコンポートが出てきます。りんごや梨、それにヨーグルトを加えることもありますが、もちろんノーシュガー。
タルトやケーキ、ムース、クレームブリュレなどはせいぜい一週間に一度の特別なデザートです。多くの栄養学者もフルーツコンポートを夜食べるようすすめています。ディナーの最後にフルーツが出てくるのは嬉しいものですが、アップルソースには快眠をもたらす効果があるという指摘もありました。
食の健康を重視するフランス女性が、量と質の問題に目を向けるのは当然と言えるでしょう。カクテルや甘いデザートを楽しむのは特別な日だけ。
カロリーを気にせず食べていいのはいつなのか、いけないのはいつなのか。それも本能的にわかっているようです。
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