上質な服を30年も大切に着る、80歳になっても恋をする、なんでも「イエス」と言わない……。赴任先のフランスで出会った、年齢を気にすることなく、シンプルかつシックに生きる女性たち。そんなフランス女性の「美の秘密」に迫ったのが、『フランス人が何気なくやっているシンプル・シックな36の法則』です。私たち日本人も参考にしたい習慣が盛りだくさんの本書から、一部をご紹介します。
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今あるものを組み合わせてみる
彼女たちは、いいものを十年、二十年と大事に着ます。それができるのは、ひとつには体重を一定にキープしているから。たとえ増減しても二キロから四キロ程度なので、いつまでも着られるというわけです。
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さらに、上質な服は縫い代に余裕があって手直しがきくというのも、長く着られるもうひとつの理由となっています。
クローゼットに何年もあるお気に入りには、イヴ・サンローランのブラックレザー・ペンシルスカート(よく似た感じで、もう少しお財布にやさしいのは、たとえばアニエス・ベー)、夏用のペザントブラウス、コート類、年齢に関係なく着られるリトル・ブラック・ドレスなどがあるかもしれません。お気に入りというのは個人の好みなので、もしかしたらシャネルのスーツもあるかも。
でも、最近は上下お揃いで着ることはありません。スカートは、タートルネックや白いシャツと合わせて、ヒップアクセサリーを。レザージャケットは、タフでシャープな着こなしからフェミニンなそれへと変わっても、ワードローブから完全に姿を消すことはなく、シャネルのスカートと組み合わせると最高。シャネルのジャケットはカーディガン風に。カーディガンとしてなら、ジーンズ、レザースカート、サテンのイブニングズボン……どれとでも合わせられるでしょう。
一年も節約してやっと手にしたレザースカートは、もうレザージャケットと合わせることはありませんが、クラシック調なので組み合わせはさまざま。ペザントブラウスもスカートとセットにはしないで、白のジーンズと合わせると新鮮です。
クリーム色のソフトレザーのジャケットは、グレイのフランネルスカートや、白いシャツかタートルネックのセーターと合わせると、意外にも、ロックな雰囲気が出るかも。仕立てのいいTシャツは必須アイテム。カシミアのタートルネックやVネック、ぱりっとした白いシュミーズドレスも。
カール・ラガーフェルドは言っています。
「今あるものを組み合わせて新しいものを創ってごらんなさい。その場その場でクリエイティブに。これまでの概念にとらわれず、着たいように着る。次の新しさへつながります」と。
年を重ねたフランス女性は、お気に入りの品々を「再構築」します。古いものと新しいものを組み合わせたり、古いものを新しい方法で使ってみたり。そうやって努力する中で、エレガンスが磨かれていくのです。
たとえば、お気に入りのペザントスカート。Tシャツなどと合わせて、ウェストにスカーフや幅広のベルト、リボンなどをあしらいます。足元はエスパドリーユかサンダルで落ち着いた雰囲気を。いくつになってもはけます。
ある友人の多彩な着こなし術
イヴ・サンローランのコットンスカートを、ほぼ三十年近く愛用している友人がいます。足首まで届くフクシアカラーのそれをわたしの娘は幼い頃、「くるくるスカート」と呼んでいました。
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とにかくどこにでも登場するのです。パリでも田舎でも、ショッピング、結婚式、日曜日のガーデンパーティ、孫の洗礼式、カジュアルで華やかなディナー・パーティ。ある夏わたしは興味にかられて、どんな着こなしで現れるのか数えてみようと決心し、メモをとりました。
(1)エルメスの大判スカーフをホルターに。
(2)白いポプリンのシャツ。裾をウェストにたくし入れて。
(3)白い綿のピケ・スペンサージャケット。
(4)淡いピンクの男性用ボタンダウンのオックスフォードシャツ。大きな黒いベルトでたくし入れて。
(5)マルチカラー、ストライプのシルクヴェスト――ストライプのひとつはフクシアカラー。
(6)モアレ紋様の黒いシルクヴェスト。
(7)長年ご愛用の、プッチのきれいなブラウス。
(8)ポプリンのシャツ、ピンクと白のワイドストライプ、幅広の濃紺グログランリボンでウェストにたくし入れて。
(9)ホルターに似た、白のノースリーブブラウス。
(10)ポロシャツ。
(11)濃紺、麻のスペンサー。
(12)白い畝織りのマルセル。
(13)刺繍入りのペザントブラウス。
(14)コットンのツインセット、濃紺とピンク。
(15)白いアイレット・ビスチェに白い麻のスペンサー。
このほかにも二十のコーディネートをメモに記しました。九月も終わり近くになって肌寒さを感じる頃には、このスカートに、タートルネックの黒いカシミアセーターを着て、ベルトで留めていました。多彩な組み合わせがここまでできるようになるまでには、きっと何年もかかったことでしょう。
フランス人が何気なくやっているシンプル・シックな36の法則
上質な服を30年も大切に着る、80歳になっても恋をする、なんでも「イエス」と言わない……。赴任先のフランスで出会った、年齢を気にすることなく、シンプルかつシックに生きる女性たち。そんなフランス女性の「美の秘密」に迫ったのが、『フランス人が何気なくやっているシンプル・シックな36の法則』です。私たち日本人も参考にしたい習慣が盛りだくさんの本書から、一部をご紹介します。