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美しい暮らし

2020.03.20 公開 ポスト

イカレポンチの回顧録#6

日吉の丘の牢獄矢吹透

武蔵野市の公立中学を卒業した僕は、慶應義塾高等学校へと進む。

文系の成績はいいのだが、理系が不得意な僕は、中学校の通知表の評価にばらつきがあり、内申書の点数が今一歩伸びず、都立高校の受験に際し、学区でトップの高校は諦めなければならなかった。

中学に入った頃から、三鷹の駅前の東急ストアの二階にあった「城南学園」という比較的、大きな進学塾に通っていた僕は、国語・英語・数学の3科目に関しては、受験のテクニックの特訓を受けていたので、内申書の成績に関係なく、3科目の筆記試験のみでクリアできる私立高校へ進む方が有利だった。

父は東京大学の出身で、母校愛にも溢れていたので、僕にも同じ大学への進学を望んでいた。

そのため、僕は、当時、東大進学率の高い私立高校の御三家と言われた中で、高校での募集人員の多かった私立武蔵高校(並ぶ、麻布・開成の2校は、中高一貫で、高校からの募集がほとんどなかった。現在では、武蔵高校も完全中高一貫校として、高校からの受け入れがまったくないと聞く)を第一志望とし、滑り止め(好ましい表現ではないが、他に適当な文言が思い浮かばないので、あえてこの言葉を使う)として、私立巣鴨高校を受験した。

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矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

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美しい暮らし

 日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。

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矢吹透

東京生まれ。 慶應義塾大学在学中に第47回小説現代新人賞(講談社主催)を受賞。 大学を卒業後、テレビ局に勤務するが、早期退職制度に応募し、退社。 第二の人生を模索する日々。

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