売り上げトップ販売員から接客アドバイザーに転身した平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』。現役販売員の方から平山さんの元に多く寄せられる“接客の悩みや疑問”を取り上げ、すぐに実践できる解決法をご紹介しています。
今回は“お客様が自虐的なことを言ったときの対処法”を一部抜粋してお届けします。
Q. お客様が謙遜したり、ネガティブなことを言ったりした時、どう返せばいいですか?
商品提案をしていて、お客様が「私なんかに使いこなせるかしら」と、不安を口にすることはありませんか?
他にも「私みたいなおばさん(おじさん)」「おしゃれじゃないから」などと自虐的なことを言われると、なんと返していいかわからなくなることがあります。
A.「皆さん、そうおっしゃいます」とお客様の気持ちに寄り添いましょう。
お客様の不安を払拭しながら、納得して提案を受け入れてもらうには、まず受け止めることが大切です。
私が地方の百貨店で接客をしていた時のことです。そこには、比較的年齢層の高いお客様がよくご来店されました。私がいた店は20代くらいのお客様がメインターゲットのアパレルショップだったので、年配のお客様はよく「若者のお店よね。私なんかが入って大丈夫かしら」と口にしていました。
ある時お腹周りが気になるというお客様に、ゆったりしたワンピースをおすすめしました。お客様は「あなたみたいに細ければいいけど」と困った顔をされました。一方で、商品を手に取ってみるなど、気になるそぶりも見せています。私は気になっているなら一度着てもらいたいと思いつつ、「太ってないですよ」などと軽々しいことも言えず、焦ってしまったものです。
このようにお客様が謙遜したり、自虐的なことを言ったりする時、なんと返していいかわからないことがあります。「そんなことはないですよ」と適当に否定することもできませんし「そうですね」と肯定することもできません。そんな時はまず「皆さん、そうおっしゃいます」「誰しも気になることってありますよね」と、気持ちを受け止める言葉を使いましょう。
お客様が否定的な言葉を使う時は「そんなことはない」と否定してもらいたいと思う反面、自分の不安な気持ちを共有してもらいたいという意図もあります。「そのように考えている人はたくさんいます」と伝えることで、お客様の気持ちに寄り添えるようになります。
また、その後に「お客様のように悩んでいらっしゃった方も○○したんですが△△でした」と、同じ立場の人がどのようにしていたかを伝えると、すすめた商品にも安心してトライしやすくなるでしょう。
例えば、先程の「若者のお店よね」と言った方には「お客様と同じ年代の方もたくさんいらっしゃいます」と伝えれば安心していただけますし、「どこで服を買えばいいのか悩んでいらっしゃる、お客様と同じ年代の方に人気の店なんですよ」などと付け加えると、商品を見る意欲が湧きます。
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他にもネガティブワードに返す例として、「お客様と同じようにイエローベースで、血色を良く見せたい方がお求めになります」や、「お客様と同じように、部屋を広く見せたい方がお求めになります」などがあります。この時、お客様自身が使ったネガティブワードだけを使うようにしましょう。こちらの推測で「顔色が悪い方にも」などと伝えるとお客様よりもマイナスな表現になり、不快な思いをさせてしまう可能性があるためです。お客様の声をこまめにメモし、トークのネタをストックしておきましょう。
お客様の心を開くのがうまい販売員は、お客様の気持ちに寄り添える言葉を使っています。
お客様がつい自虐的な言葉を使ってしまう理由を推し量れると、お客様は心を開いてくれるようになるでしょう。
「こういうことを聞くのは、恥ずかしいですよね」「考え出すと、キリがなくなってしまいますよね」など、お客様が商品を見ながらどのようなことを考えているのか、お客様の立場で考えて伝えられるようになりたいものです。
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『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』にはお悩みとその解決法をまとめた「売れる販売員になるための目標達成チェックシート」(229ページ掲載)がついています。得意なところと苦手なところがはっきりしてくるので、接客の見直しに役立ててください。
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