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あの人だけが、なぜ売れるんだろう?1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ

2020.05.08 公開 ポスト

横柄な態度を取るお客様には、どうやって接客する?平山枝美(接客アドバイザー)

売り上げトップ販売員から接客アドバイザーに転身した平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』。現役販売員の方から平山さんの元に多く寄せられる“接客の悩みや疑問”を取り上げ、すぐに実践できる解決法をご紹介しています。
今回は理不尽なお客様に当たってしまった時にぜひ試していただきたいテクニックを、一部抜粋してお届けします。

Q. まだ若いせいなのか、お客様に軽く見られてしまいます。

販売員の年代は幅が広く、若い人でも店長として活躍できる業界です。毎日お客様と接している中で様々な方との出会いがありますが、若い販売員の中には「お客様に軽く見られているかも」と感じてしまう人もいるかもしれません。
お客様より優位に立ちたいと考えているわけではない。けれど、ちゃんと提案を聞いてほしい。お客様の役に立ちたいと考えている人ほど、その思いは強いでしょう。
そのために「この販売員はしっかりしている」と安心して話を聞いてもらえるようにしたいものです。

A. 接客の基本「姿勢」「仕草」「話し方」で余裕を見せましょう。

私が店長になったのは20代半ばの頃でした。アパレルとしては早くも遅くもない時期ですが、私は役職を与えてもらい張り切っていました。ある日、50代半ばくらいのお客様が来店しました。お客様は靴を高いところから落として試し履きをしたり、勝手に試着室を使ってしまったりと、勝手気ままに売り場を利用しています。
私はなんとマナーを知らない人なんだ、ともやもやとした気持ちになってしまいました。そして、試着室から突然「ちょっと、いい?」と大きな声で呼びかけられました。お客様は終始タメ口で私に話しかけました。

「これ、色違いある?」「なんかさ、ちくちくするよね、やめるわこれ」「おすすめあったら適当に持ってきてよ」

私はすっかりムッとしてしまい、ついつい「かしこまりました」とだけ言って、手を突き出して試着済みの商品を受け取りました。こちらとしてはそれで胸がスカッとするかと思ったのですが、お客様は涼しい顔をしながら「ありがとう」と試着室のドアを閉めたのでした。

お客様のマナー違反が目に余り、イライラしてしまう私のような人が他にもいるかもしれません。以前はお客様は神様だ、という言葉もありました。しかし今では、販売員とお客様はWin ― Winの関係だと捉える流れに変わってきています。そのためより一層、マナー違反が目についてしまったり、それにより自分が軽く見られていることを許せないと感じたりする人も増えているようです。

このような話をすると感情論になりますが、相手の態度にイライラしてしまうのは、余裕のなさの表れです。私はちゃんとしているのに、我慢しているのに、などと、真面目でまっすぐな人ほど、ついつい相手の自由奔放さが目についてしまいます。
当時、私は店長という役目を与えられたものの、自信がありませんでした。お客様にそれを見透かされたようで、ついつい大人気ない態度をとってしまったのです。
それではこのような時、私たちはどうしたらいいでしょうか。

答えはただ一つ。自信を持つことです。特に、基本を習得した時の自信や安心感は自分の接客を力強く支えてくれます。お客様にはこちらの余裕を見せて丁寧に対応しましょう。

接客の基本、というと何を思い浮かべるでしょうか。
売り上げに直結しないと考えられているため、ついつい見逃されがちですが、姿勢・仕草・話し方が接客の基本にあたります。
姿勢は背筋をピンと伸ばした状態。肩を少し反らして、鎖骨から肩までを一直線にするイメージです。胸を張ると、背筋も自然と伸びます。
研修で販売員の姿勢をチェックするのですが、大抵の人が、肩が内側に入り猫背気味になっています。胸を張った方が声も通りやすくなり、頼もしい印象になりますので意識していきましょう。

仕草では歩き方や指先の使い方がポイントです。小股で歩くよりも、少し大股で、かかとから着地するように心がけます。足の裏全体でペタペタと歩くと幼く感じる人が多いからです。
もう一つ、大切なのは指先の動き。商品に手を添える時に指先を意識すると、自然と丁寧に商品を扱えるようになるでしょう。気にかけている分、動作もゆっくりになるので、余裕があるように見えます。

私自身、ずっと「売れている販売員が必ずしも姿勢が良いとは限らない」と考え、特に気にすることはありませんでした。しかし、一回胸を張ってみたら、ゆっくりした呼吸を意識するようになり、相手を冷静に見ることができるようになりました。身体に心がついてくる、とはまさしくこのことだなと感じました。

お客様の態度にイライラしてしまうのは自分に自信がないからです。しかし、自信をつけようとしても基礎が固まっていないと、いつまでも自分がやっていることに不安が残ってしまいます。
接客の基礎の基礎、立ち居振る舞いを改善することで、人としての余裕が生まれます。直接的な売り上げに繋がらなくても、自分の大きな自信となり、お客様にも自分にも安心感を与えてくれるでしょう。

*       *       *

『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』にはお悩みとその解決法をまとめた「売れる販売員になるための目標達成チェックシート」(229ページ掲載)がついています。得意なところと苦手なところがはっきりしてくるので、接客の見直しに役立ててください。

 

関連書籍

平山枝美『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ』

――この本はかつての私のように、接客に自信が持てない方に向けて書いた本です。 販売員を経て、大手アパレル企業や大型商業施設、美容師etc.あらゆる業界から予約が殺到する接客セミナーの講師を務めるようになった著者が、セミナーで多く寄せられるリアルな悩みや疑問に答えます。 STEP1お客様が居心地のいい店作り動的待機〜アプローチ STEP2お客様の本音を探るニーズ把握 STEP3お客様の「欲しい!」をくすぐる商品提案 STEP4聞きたくても聞けなかったことスキルアップ 〜自分だけの教科書になる目標達成チェックシートつき!〜

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あの人だけが、なぜ売れるんだろう?1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ

接客アドバイザー・平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ』試し読み。

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平山枝美 接客アドバイザー

接客アドバイザー。大学卒業後、アパレル企業に入社。当初はファーストアプローチもできず、売り上げがまったく取れなかったものの、売れる販売員は購入に繋がる「一言」を効果的に使っていることに気付く。以来、接客の一言に磨きをかけ、社内全販売員200人中売り上げトップに。その後、新規店舗の店長を務め、予算比180~200%達成。入社最速でエリアマネージャーに抜擢される。担当店舗のマネジメントと店長の育成を担当しながら、不採算店舗を次々と立て直し、 年間売り上げ10位だった店を1位に押し上げるなどの実績を残した。その手腕を活かし、全国の店長育成を担当。大手アパレル会社に移籍し、店長の育成に携わった後、独立。無印良品(良品計画)、大型商業施設、インテリア小売店など、アパレルに留まらず小売業全般の接客アドバイスを手がける。現場の販売員の悩みを熟知したアドバイス・研修は、「言われたとおりに接客したら売り上げがアップした」などと好評で、満足度アンケートで最高評価98%と人気を誇る。また、 初めての著書『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』(日本実業出版社)はベストセラーとなる。

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