病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説した『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』(前田浩著)から、一部を抜粋してお届けします。抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊です。
* * *
このたった百年の間に、世界は高速大量輸送の時代へと移り変わってきています。多くの人達が気軽に海を越え、山を越え、数百キロも離れた土地へ、驚くべき速さで移動できる時代になったのです。アフリカや南洋の熱帯地方のウイルスも、温暖化した北半球に拡がりつつあります。
生産物の交流や、観光という新しい産業の発展は好ましいものですが、それだけでなく感染症という厄介なものも、高速で大量に国境を越えて運ばれてくる時代になってしまいました。
2019年末、中国武漢市で発生した新型コロナウイルスが、短期間に世界中に蔓延したのも、このボーダレス社会、高速大量輸送時代が生んだ弊害といえるのかもしれません。こうしたことはSARSやMERS、鳥インフルエンザなど のときも大きな問題となりました。
いずれも発熱と呼吸器症状が主で、重症化すると死にいたります。特に既往症のある人、高齢者や免疫力の落ちた人は要注意。肺炎を起こすと致命的になりかねません。
大きな流行にはなっていないので分かっていませんが、海外から持ち込まれる新しい病気は他にもあるといわれています。
新型コロナウイルスだけでなく、発展途上国に滞在して帰国した人からや、熱帯地方で養殖した海産物に付着するなどして、コレラや腸炎ビブリオなどの菌が持ち込まれる危険性も考えられます。そこで、ボーダレス時代の感染症対策はずいぶん前から検討されていて、水際対策がとられてきました。
しかし、空港で高熱を出している人を見つけて、隔離することも大事ですが、呼吸器系ウイルス等はそれまでに機内で周りの人が感染してしまうことも十分考えられます。自分自身が、旅先でそうしたウイルスや細菌に感染することもあるでしょう。
では、こうしたウイルス対策はどうしたらいいのでしょうか? 人混みはでき るだけ避ける、うがい、手洗いはもちろんのこと、現地では生水は飲まない、生野菜も食べないのが賢明です。
そして何より、そもそもウイルスに感染しにくい身体を作っておくことが大切なのです。
次ページの表をご覧ください。ウイルスにヒトが暴露(ばくろ:さらされる)した場合、高濃度のウイルスではより確実に感染し、容態もひどくなりやすいのですが、極めて低濃度のウイルスでは感染しないか、感染しても軽症か、あるいは不顕性感染になることが知られています。
人が密集するところ、人混みをできるだけ避けるべきなのがよく分かります。
〈参考文献〉
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•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋
ウイルスにもガンにも 野菜スープの力
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