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  4. 野菜の力と恵み、ファイトケミカルとは

病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説した『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』(前田浩著)から、一部を抜粋してお届けします。抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊です。

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草花や野菜など、植物はなぜガンにならないのか? 不思議に思ったことはありませんか? 自然界の植物は強い紫外線にさらされ、かびや病原菌や害虫の攻撃も受けているのに、自ら動いて逃げたり防衛したりできないのです。

そのため体の中に、自分で自分の身を守るしくみを整えたと考えられます。ファイトケミカルです。直訳すると植物性化学物質であり、細胞の中に含まれる成分であり、植物の色や香り、辛み、苦みなどのもととなる機能性成分です。

トマトのリコペン、ホウレンソウ・コマツナのルテイン、タマネギのケルセチン、お茶のカテキン、ニンジン・カボチャのベータカロテンなど、私達がよく食べるおなじみの野菜に多く含まれています。

ファイトケミカルは、強い抗酸化力を持ち、ウイルスの侵入などで発生した活性酸素を中和・除去してくれるのです。

(写真:iStock.com/AnaBGD)

これほど頼りになるファイトケミカルですが、残念ながらヒトの体内で作ることはできません。植物由来の成分であり、私達は野菜・果物を食べることでしか摂取できないのです。

1. 私達の身体を作りエネルギーのもととなるタンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素、2. 体調を良くしバランスを保つビタミン・ミネラル群、3. 腸内環境を整える食物繊維、に加えファイトケミカルの役割を是非知っていただきたいのです。

活性酸素を中和・除去し炎症を抑える、免疫力を向上させる、私達の健康を守る隠れた救世主なのです。ウイルス等感染症・ガン・生活習慣病の元凶である活性酸素を除去してくれるファイトケミカルですが、さらに調べていくうちに、その調理法も大切であることに気づきました。

すなわち、ファイトケミカルの成分は、加熱することによって人体にずっと吸収されやすくなるのです。吸収率、抗酸化力は実験では最大100倍にも強くなることが分かっています。そしてベストな料理法はスープであることも確信できました。

詳しくは第3章で述べますが、今は、新型コロナウイルス感染の予防・防衛のために「野菜スープ」が大いに助けになる、という提言を覚えておいてください。

ファイトケミカルには、人体にとってもう一つ優れた特性があります。血管を拡張し、血流を良くする働きです。

血管内の内皮細胞から一酸化窒素(NO)が放出されます。この一酸化窒素が血管の筋肉をゆるめ、拡げ、血流を増やしてくれるのです。

しかし、ここでも活性酸素が邪魔をします。NOを攻撃、酸化させてしまうので、血管は狭くなり、血圧も上昇、体のすみずみにまで血液等がいきわたらず、体調を乱すもととなります。

ファイトケミカルは、血の巡りを良くしてくれるのです。毎日の野菜スープは、 循環器系の不調にも有効な生活習慣なのです。

前田浩『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』

病気予防に効果的な野菜スープ。
そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説!
抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊。

〈参考文献〉
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•堀江重郎「ヤル気が出る! 最強の男性医療」、文春新書、pp. 1-207(2013)
•堀江重郎「対談集 いのち 人はいかに生きるか」、かまくら春秋社(2018)
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•Financial Times 8月8日(木)2019年、P.7;同New York Times, International Ed., The weedkiller that won’t be exterminated, p.10, Business, Sept., 27, 2019(ラウンドアップ)
•R. A. Weinberg. Cell, 157, 267(2014)
•前田 浩、化学と生物、vol.55, No.7501-509(2017)
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• Laura Howes, How your gut might modify your mind, Chem. Eng. News 9(7 14)36-40(2019) •Science Oct. 23., 2019
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•半田 康、ホルモン剤使用牛肉の摂取とホルモン依存性癌発生との関連、日本がん予防学会ニュースレター p.1., No.66, Dec. 2010.
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•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋

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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説! 抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊。

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前田浩

1962年東北大学農学部卒業/1964年カリフォルニア大学 (Davis 校)大学院修了(フルブライト奨学生)/1968年東北大学大学 院博士課程修了(指導:医学部石田名香雄教授)、東北大学医学部細菌 学講座助手、ハーバード大学ダナ・ファーバーガン研究所主任研究員/1971年熊本大学医学部微生物学講座助教授/1981年同教授/ 2005年熊本大学名誉教授(医学)、同年崇城大学薬学部教授、2011年 同特任教授/2016年同栄誉教授、現在、(財)バイオダイナミックス研 究所理事長・所長/大阪大学招聘教授(医学)、東北大学特別招聘プロフェッサー

〈研究テーマと抱負〉高分子型抗癌剤、癌血管の透過性にかかわる現 象の EPR 効果、感染における生体内ラジカルの生成、炎症による生 体内活性酸素と抗酸化食品による癌予防、癌の蛍光ナノプローブに よる検出と光照射療法

〈受賞歴〉日本細菌学会浅川賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、ドイツ生 化学会および国際 NO 学会の特別号発刊により顕彰、王立英薬学会 Life Time Achievement Award受賞、日本DDS学会 永井賞、日本癌 学会吉田富三賞、2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞(化学部門)、 米国ミシガン州Wayne State Universityより2017 Roland T. Lakey 賞受賞、2018年瑞宝中綬章受章、西日本文化賞、米国サンアントニオ 市名誉市長、米国オクラホマ州名誉州民など多数

〈趣味〉ワイン

 

 

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