それからたくさんの小説を書いた。
数か月かけて小説を書き、数か月かけて直し、数か月なにもしない。それを数年間繰り返した。エッセイの連載もはじまった。
それ以外にも、映画のパンフレットやゲーム雑誌やらの単発の仕事も貰えるようになり、無名ながらも作家としての生活は充実していた。
とはいえ、わたしが最も本を出した年でさえ刊行は三冊か四冊だったので、たいした忙しさではない。年に十本新作を書く作家だって、世の中には存在するのだ。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
愛の病の記事をもっと読む
愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。